第117話 引受人

兵士から話を聞いたオセロはマコトの身元引受人となり、翌日にはマコトを引き取っていた。

「マコトさん、なんで貴方は人前で裸になっていたんです、全く性癖は様々ですが捕まるようなものは控えてください。」

「やりたくてやった訳じゃない、くそっ!それもこれもアイツのせいだ!」

「アイツ?」

「ゴウだ!ゴウの奴が俺のお楽しみを邪魔して俺をあんな目に合わせたんだ!」

「ゴウ・・・それは国賓としてお迎えされている古の魔法使い、ゴウ様ですか?」

「たしかにそんなふうに呼ばれているみたいだけど、その実隠居ジジイみたいな奴だ、全く田舎で引き籠もっていればいいのに王都に来やがって!」


マコトは苛立ちからゴウに対する文句を言い続けるがそれを聞くたびにオセロはマコトを引き取った事を後悔し始める。


「マコトさん、今後の商売についてお話したい。」

「ああん?商売?」

「ええ、高級石鹸についてです。」

「あー、あれね、暫く無理。」

「はぁ?どういう事ですか!」

「ゴウの奴がいる間は入手出来ない、ゴウがいなくなればまた入手してやるよ。」

「ゴウ様が居たら無理とは・・・もしかしてゴウ様の許可を得ていないのですか?」

「まあね、アイツの頭は堅いから、売れる物を世間の影響がどうとか言って売らないんだよ、だから俺は売って稼いだって訳だ。

まあ、ゴウがいなくなれば、目を盗んで手に入れる事も出来るだろうから暫く我慢してくれ。」


「・・・マコト、我が商会は創業者キヨタカ様に敬意を払い、日本人に対して礼を持ってきた。

日本人のゴウ様に敵対する者と商売する訳にはいかない。」

「いかないも何も既にしているからな、オセロさんもだいぶ稼いだんじゃないか?」

「黙れ!商売にも道がある、私はキヨタカ様に顔向けできない商売を続ける気は無い!」

「なんだよ、じゃあこの商売の話は他に持っていくさ。」

「そんな事はさせない、此処に契約書がある、此処には毎月の納入量とそれが出来ない場合の違約金が書かれてある、納入出来ない以上、この違約金を払ってもらおうか!」

「なっ!お前の方から契約を切ろうとしているんだ!違約金なんて無効に決まっているだろ!」

「じゃあ品は用意できるのか!」

「やろうと思えば出来るんだよ!

それよりゴウに敵対したく無いからと契約を切ろうとしたほうが違約金を払うべきだろ!」

「なんだと!」

オセロとマコトは醜い言い合いをしていた、そしてその見苦しい言い争いは兵士達の乱入にて終わることになる。


「密売人マコト及びオセロ!

お前達を捕縛する!」

アリサからの報告を受けた国は密売人としてマコトへの捕縛命令、それと同時に販売元のボード商会の営業禁止令及びオセロの捕縛命令を即座に出していた。

その為、ボード商会に兵士が駆け付け二人を捕縛するのであった。


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