第110話 マルコから事情を

「マルコに聞きたい事があるんだけど、今の状況を教えてくれるか?」

「ゴウ、どうしたんだよ、顔が怖いぞ。」

「俺の顔が怖く感じるのは後ろめたい気持ちがあるからじゃないか?」

「・・・日本から来た者を駅に入れた事か?」

「連絡ぐらいは入れれたよな?お前にはその手段を用意してたんだし。」

「悪かった、だが王命で日本から来た者を受け入れて欲しいと言われたんだ、なるべく早く受け入れるしか無いだろ。

それにお前が日本人がいたら迎え入れるって言ってたと聞いたからな。」


「誰に聞いた?」

「・・・マコトだ。」

「なるほど、お前はマコトの言うことを信じて連絡を取ることをはぶいたわけだな。」

「いやいや、言い方が悪いだろ、たしかに連絡しなかったのは悪いがお前だって静かに暮らしたかったんだろ?

些事に連絡しないぐらいは許容範囲だろ?」

「なるほど、王命が下る事が些事だったと?」

「だからな、言い方が悪いだろ!」


「俺としてはお前が受け入れを決めたと言うならかまわないと思う。

だがなんでマコトの意見を求めた?」

「なに?何が言いたいんだ、俺が決めていいなら、それでいいだろ?」

「だが、お前じゃ決めれなかったんだよな?

だからマコトに聞いた。

そして、誰がマコトをここの責任者にした?」

「・・・いや、それは。」

「お前がマコトを責任者として見た為に受け入れた者達が不当な扱いを受けていた、その中には俺の親戚もいたんだ。」

「いや、しかしだな、日本から来た者としてマコトを受け入れたんだろ?」

「ならマルコは同じ国の人全てを信じるか?

行く宛のない者を受け入れ、その者に責任を任せるか?」

「・・・」


「マルコ、何故連絡をしなかった?

少なくともその手段は用意していただろ?」

「・・・すまない。

マコトを信じてしまった。」


「なあ、なんでマコトを信じたんだ?

元々捕まっていた奴だろ?」

「お前が商品の販売を任せているぐらいだからな、それなりに信頼を得ていると思っていたんだ。」

「商品の販売?俺はマコトに何も任せていないぞ?」

「えっ?高級石鹸やシャンプー、美容液などを商店に卸して販売しているじゃないか?」

「なんの話・・・

なるほど、いやわかった、すまんそれは俺の落ち度だった。」

俺はドラッグストアの使用許可の設定を日本人にした状態になっている事に気付く、マルコの話と合わせるとマコトがドラッグストアから横流しをしているであろう事が理解できた。

その為、マコト。

そして、繋がっている可能性があるマコトの友人コウタを使用禁止に設定した。


「どういう事だ?」

「マコトが横流しをしていたんだ、俺は高級石鹸も美容液も流通させるつもりは無かったんだ、何処の商会に卸しているか知らないが、それに俺の意思は無い。」

「なんだと・・・」

マルコの表情は青ざめている、ゴウの立場は国賓として扱われており、身分こそ貴族でないものの、その扱いは高位貴族に引けを取らない、これまで自分が行った事はゴウをことごとく蔑ろにしており、たかが伯爵子息の身で許されるものでは無かった。


「事情はだいたいわかったよ、どうやらマコトはやり過ぎているようだ。」

「ゴウすまない・・・」

「マルコ、何か合った時に連絡をしないなら連絡列車はいらないよな?」

「ま、待ってくれ!お前との繋がりが無くなれば!」

「少なくとも今すぐ信じる事はできない、この件が終わるまでは静かにしておいてもらえないか?」

「・・・わかった、だが俺は決してお前を蔑ろにしたかったわけじゃない事だけは信じてくれ。」

「・・・覚えておくよ。」

マルコは肩を落として帰宅していくのであった・・・

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