第109話 保護

「良かったです・・・」

「そんなに心配することじゃ無いだろ?

カスミちゃんを見捨てたりしたらおじさん達に合わす顔が無い。」

「でもこんな世界に来ちゃったし、ここを出て行ったら暮らしていける自信なんて無いもん。」

安堵からか少し目に涙を浮かべている。

「ほら泣かない、相変わらず泣き虫だな。」

「違うもん、泣いてなんか無いもん。」

「ほら胸を貸すからこっちにおいで。」

「泣いてなんか無いもん・・・」

口で否定しつつも、俺の隣に座り俺にしがみついて泣き始める。

そこには普段の委員長として凛とした姿は無く安心してあまえる姿がそこにはあった。


「なぁゴウとか言ったよな、なんでアンタは此処の責任者をあんな奴に任せているんだ?」

リュウタはカスミを取られた気分になり少し不満そうに話しかけてくる。

「あんな奴?」

「マコトの事だよ!しらをきるつもりか!」

「しらを切るも何もマコトくんには何も任せてないよ。」

「えっ?」

「同じ日本人とはいえ、彼はあまり性格が良くないみたいだからね、何か頼む事も任せる事も出来ないかな。」

「じゃあなんで・・・」

「そもそも何がどうなっているかサッパリわからない、君達がホテルに滞在している事も今日此処に来てから知ったんだ、色々確認をとる必要があるね。」

「確認ですか?」

「そう、君達が滞在するようになった経緯や、なんでマコトくんが責任者を名乗っているかだね。」

「ゴウ兄さん、私達追い出されたりしませんよね?」

「大丈夫、カスミちゃん達は追い出したりしないよ、追い出すならマコトくんの方になりそうだけど、一応確認してからになるね。

リュウタくんとマナブくんだったよね、二人は他の子達にマコトくんに誑されないように注意しておいてもらえるかな?」

「大丈夫、あんな奴に誑かされる奴はクラスにいない!」

「それなら良いんだ、でも一応、事の次第がつくまでは気をつけてもらえるかな?」

「わかった。」

俺はリュウタ達に注意を促したあと、マルコが駅に置いた貴族対応用職員にマルコへの連絡を頼む。


『確認したいことがある、至急駅に来てほしい。』

ゴウからの知らせにマルコは慌てて駅にやって来るのであった。

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