第105話 たくらみ
「姫様、あの者を信じてよろしいのでしょうか?」
「ローズ、何が言いたいのですか?」
「姫様を騙し、良からぬ事を企んでいるのではないかと。」
「口が過ぎますよ。
そもそも私達はゴウさんに助けられなければ海の藻屑となっていた身です。
今更ゴウさんを疑ってどうするのです?」
「しかし・・・」
「それに考えてみてください、このような、何も無い地に、このような立派な建物を建て、暮らせような人ですよ。
良からぬ事をたくらむとは思えません。」
「たしかに何もありませんね。」
ローズは周囲を思い出す、港こそ立派な物ではあるが人気が全く無い、見る限り使われた形跡が無いのである。
「私はゴウさんを信じてみようと思うのです。
もしかしたら国を救う術があるやも知れません。」
「姫様・・・わかりました、ただし姫様に危害を加えるようなら私があの男を斬りましょう。」
「そのような事は無いと思いますが・・・
良いですか、こちらから失礼な事が無いようにだけ気を付けてください。
これは王女としての命令です。」
「はっ!しかと承りました。」
翌日、俺は朝食を取りながらクロエと対談する。
「クロエさん、今日王都に向かおうと思いますが大丈夫でしょうか?」
「はい、国では一大事が起きているのです、早く向かえるのならそれが一番にございます。」
「多分、アリサ王女は来ていると思うのですが、向こうの予定次第となりますので会えるのは明日以降になるかも知れません。」
「明日?お待ち下さい、ここから王都ジョアはそれほど近いのですか?」
「近くはないですけど、半日ぐらいで着く乗物があるんです、まあそれも乗っていただければわかると思います。」
「早く着くなら是非お願いします。」
「わかりました、食後、1時間後に出発したいと思いますので用意を宜しくお願いします。」
「はい、わかりました。
ローズ準備をお願いします。」
「かしこまりました。」
クロエの命を受け、ローズは侍女の一人を呼び準備を命じるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます