第104話 ラニアン王国の事情

「改めまして、お助けくださりありがとございます。」

クロエは深く頭を下げる。

「いえ、困った時はお互い様です。

お気になさらず。」

「お互い様ですか、いいお言葉ですね、私もそうありたいと思います。」

「それで浅学で申し訳ないのですがラニアン王国とは何処にある国なのでしょう?」

「何処と言われましても・・・

ローズ説明できますか?」

隣に控えていた騎士に質問する。

「ここが何処かはハッキリしないがラニアン王国は海を隔てた向こうのはずだ。」

ローズは俺の方を睨むように見ながら質問に答える。

「ローズ、態度が悪いですよ。

貴女の一挙一動がラニアン王国の振る舞いとなるのです、いつ如何なる時も礼節を心得なさい、ましてやゴウさんは我等の恩人、軽く見ていい相手ではありません。

ゴウさん、申し訳ありません。」

クロエはローズを諌め、改めてこちらに謝罪してくる。


「いえ、警戒するのは仕方の無い事だと思います。

差し支え無ければ海を渡った理由をお聞きしてもよろしいですか?」

「現在ラニアン王国は魔族の侵攻に合い、苦戦しております、私がこちらに来たのはジョージア王国に援軍・・・

いえ、それは表向きでしたね、王家の血を残す為にこちらに参りました。」 

クロエの表情から悲痛な思いを感じる。

「援軍が無理な理由は海を渡れないからですか?」

「はい、多少なり交流はありますが大規模な援軍を派遣してもらうとなると多数の犠牲が出る上に渡ったのち軍として活動出来るか不明になります。」

「ふむ・・・」

俺は頭の中の地図を広げる、先程の話を聞いた為か海の向こうに目標点が出来ている。

「クロエさん、ポメという地はクロエさんが来た場所ですか?」

「何故それを?私は言ってませんよね?」

「いえ、私のチカラの一つで話を聞くと地図に表記されるようなのです。

そこで提案なのですが安全に海を渡れるというなら援軍を望む事は可能だと思いますか?」

「・・・わかりません、多少の交流があるとはいえ、ジョージア王国の都合もありますから。」

「ならば聞きに行きましょう、幸い王家と多少なりの繋がりがあります。」

「えっ?平民では無かったのですか?」

「平民には違いないけど、国賓扱いしてくれていますから、王女様と第三王子様とも連絡がつくし話す事ぐらいならできると思う。」

「お願いします!何から何まで頼りすぎていることは重々承知しておりますが、ラニアン王国が救える可能性があるのなら、どうかよろしくお願い!!」


「わかりました、明日には王都に行きますから取り敢えず今日はゆっくり休んでください。」

「よろしくお願いします。」

クロエは深く頭を下げるのだが、話を聞いていたローズは最後まで俺を訝しげに見ていたのだった。

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