第103話 船が見える!

「ゴウさん、船が見えます!!」

釣りをしていると沖の方に船が見えるのだが、現在進行系で魔物に襲われているように見える。

「すぐに助けに行くよ、アヤカちゃんシッカリと掴まってて!」

「はい!」

俺は助けに向かう、俺達が近付くと魔物は入って来れないのか、追い出されるように船から離れていった。


「大丈夫ですか!」

俺は船を横付けして声をかける。

「・・・大丈夫です。

助けてもらって感謝いたします。」

出てきたのは貴族と思われる女の子とその護衛と思われる騎士だった。


「それは良かったと言いたいのですが、その船はもう限界ですよね?

よろしければ近くに私の港がありますので寄っていきませんか?」

「なっ、こんな所に港があるなんて聞いたことが無いぞ。」

騎士が驚きの声を上げる。

「最近できましたから、一先ず停泊してお休みになられたらどうでしょう?」

「ありがたいお言葉に甘えさせてもらいます。

私はラニアン王国、第三王女クロエ・ラニアンといいます。」

「私は桐谷ゴウと申します。

浅学にてラニアン王国を存じませんが平民の私としては非礼なところがあると思います。

どうかお目溢しください。」

「かまいません、王女といってもこんな有り様ですし、ゴウさんの助力が無ければ今頃海の底に参ってた所だと思いますので。」

クロエは先程までの襲撃を思い出したのか少し身を震わせていた。


「私達の港には泊まる所もございます、少しお休みになられたら宜しいかと思います。」

「重ね重ねありがとうございます。」

クロエは深く頭を下げる。

「姫様!平民に頭を下げるなど!」

「静かにしなさい、ゴウさんはご厚意で申し出てくださっているのです、私達も礼を持って尽くすのがラニアン王国王族、いえラニアン王国の国民としての最低限の振る舞いでしょう。」

「うっ!申し訳ありません、姫様の申す通りでございます。」

騎士も頭を下げる。


「頭を下げる必要はありませんよ、困った時はお互い様と申します、今は私達の所でごゆるりとなさってください。」

俺はクロエが乗っていた船にロープをかける曳航しながら港に入港する。


「こ、こんなに立派な港はラニアン王国には無いぞ・・・」 

港を見た船乗りと騎士は固まっている。


「ゴウさん、そちらの方は?」

いつも通り出迎えに来ていたミユキだが一緒にいる人達を見て質問してくる。

「こちらはラニアン王国の方々です、海で魔物に襲われ見ての通り船が傷んでしまったので此処に案内しました、暫く滞在してもらうので出迎える準備をお願いしてもいいかな?」

「わかりました、すぐに準備します。」

ミユキは足早にホテルに戻っていく。


「先程の方は奥方でしょうか?」

「違います、同居人です、縁あって一緒に住んでおりますがそのような関係ではありません。」

「そうですか、仲がよろしいように見受けられましたのでてっきり・・・

これは失礼致しました。」

「いえいえ、それよりまずはあちらの建物に参りましょう、お話はその後でも充分にできますので。」

「ありがとうございます。」

俺はホテルのロビーにラニアン王国の方々を案内する。

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