第101話 支配下に・・・

「私がここの管理をしている、新庄マコトだ。

君達は日本から来て困惑していると思うが全て私に従えばいい。

君達の生活は保証しよう。」

マコトはやってきた中学生に演説じみた説明をする。

「マコトさん、此処は東京駅じゃないんですか?」

「残念だが違う、此処はチカラにより生み出された物である、だが暮らす事に必要な物は揃っている。

まずは部屋に入りそれを確かめてくれ。

部屋の番号は一人ずつ取りに来てくれ。」

マコトは見た目の可愛い女の子を自分の近くの部屋に、男達をなるべく遠くに配置した部屋番号を渡していく。

「1時間後に陽光の間に来るように。

いいか、此処では私が法だ。

従わない場合は追放もあると思え。」

マコトはビシッと全員に脅しをかける。


「あ、あの国王様から私達の事を任されたと聞いたのですけど、それでも追放されるのでしょうか?」

「国王といえど、この場には入れない、この事が全てだ。」

「そんな・・・」

「なに、従うなら何も問題ない・・・」

マコトは意見して来た女の子を舐め回すように見る、真面目な学級委員といったところだろう、この子が逆らうような事は無いだろうがクラスの代表として確認したかっただけだろう。


だが、マコトの暗い欲望に火がつく、これまで女の子と付き合った事など無い、むしろオトコに突かれた事しか・・・


もとい、真面目なこの子は間違い無く処女だろう、その子を自分が開発してしまうのも・・・

エロ本にあるような展開を想像して気持ち悪い笑みを浮かべる。


「あ、あの、もう部屋に行ってもいいでしょうか?」

「えっ、ああ、行っても構わない、ただし、私に従うように他の奴らにもシッカリと伝えておけ!」

「はい!」

女の子は慌ててみんなが待っている場所に戻って行くのであった。


「カスミ大丈夫?」

「大丈夫よ、ナオコ。」

みんなの下に帰った女の子、カスミは友人ナオコに心配されていた。

「何アイツ気持ち悪い!」

「そんな事を言っちゃ駄目よ、此処を出たら私達どうなるかわからないでしょ?」

「でも、アイツ絶対にロクな事しないわよ。」

「うん、でもみんなここ以外に行き先無いし、ここなら日本と同じ生活できるんだよ、お城でもお風呂も無いし、トイレだって・・・」

カスミは城での生活を思い出すのだが、日本人として生活してきた自分達にとってその衛生環境は苦痛でしか無かった。

このまま続くと思った矢先のホテルの出現に今更前の生活に戻りたいとは思えなかった。


「カスミ、いい絶対に一人で行動しない。

なにが合っても私達がいるからね。」

「そうだぞ、委員長。

いざとなれば俺がアイツをぶん殴ってやる。」

クラスの問題児リュウタが力強く話に入ってくる。

「駄目よ殴っちゃ、追放されちゃうわ。」

「俺は大丈夫さ、委員長達と違って風呂もトイレも関係無いしな。

・・・それに勘なんだが、アイツなんか怪しいんだよ。」

「えっ?」

「こんなチカラがあって、俺達を庇護するような奴なんだろ?それも王様すら手出しできないって。」

「うん、そう言ってたよね。」

「なら何で俺達を脅すような事を言うんだ?

そもそも受け入れなきゃ済む話だろ。」

「秩序があってほしいからじゃないかな?」

「普通反抗しないだろ?まあ俺みたいな奴は違うかもしれないがそれこそ反抗した時にやればいいだけだ。

あんな脅しをかけてくる弱みがあると俺は見たね。」

「一理あるかも知れないけど、危険だよ。」

「いいや、危険なのは委員長だよ。

アイツは委員長を狙ってた、あの目は間違い無い。」

「狙う?」

「リュウタ、カスミはその手の話に鈍いから・・・」

「あー、わかった。おい、シュウヤ、ゴンタ。

俺達は委員長を守るぞ、いつも世話になっていたんだ、こんな時こそ体を張れるな。」

「たりまえだ、先公の嫌がらせから庇ってもらった恩は忘れてねえ。」

「俺は弟が世話になったからな、借りは返すもんだ。」

シュウヤ、ゴンタはそれぞれカスミの世話になった事があった、勉強は出来なく、素行が悪い自分達をクラスメイトとして、いや友人として付き合ってくれたカスミに感謝しており、どんな事になったとしても裏切らない、それが漢としての道だと心に決めていた。


「おい、不良ども。

委員長を守るのはお前達だけじゃない、そもそも秩序を守るのは私だ。」

「マナブくんもありがとう。」

カスミは笑顔でマナブにお礼をいう。

「と、当然だ、同じ委員長として、パートナーを守る必要があるからな。」

マナブは頬を赤く染め照れている、誰がどうみてもカスミに気があるのは明白なのだが当の本人はまったく気付いていない。


「こんな異世界なんて理由のわからない世界に来たんだ、同じクラスがバラバラになっちゃいけねぇ!

俺達は一丸となって生き抜くぞ!」

「「「おぉ!!」」」

リュウタの声に全員が応えるのであった。

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