第100話 大量の日本人

「大量の日本人ですか?」

マルコはクルトから相談を持ちかけられていた。

「そうだ、彼等は日本から来たと言うのだが、ゴウみたいに魔法も無くてな、城で保護するというのも他の者から批判的な声もあるのだ。」

多くの者に取ってヒーホンの者は古の魔法使いである、魔法の使えない訪問者を国賓として扱うのは違うのでは無いか、という問題が発生していた。


「それで私は何をすれば?」

「同郷の者ということでゴウ殿の所で庇護できないだろうか?」

「たしかにゴウの所なら多くの人が住めますし、既に2名程庇護しております、それに貴族もゴウ殿には何も言えませんか・・・

しかし、何よりゴウ殿に納得してもらう必要がありますね。」

「わかっておる、マルコよ一度ゴウ殿に話してもらえぬか?」

「わかりました、陛下の頼みとあらばこのマルコ身命を賭して話してみましょう。」

「ゴウ殿が無理と言うならそれで構わぬ。

ゴウ殿の意向を最優先で考えてくれ。」

「はっ!」

マルコは王命を受けて駅にやって来る。


「あれ?マルコさんどうしたの?」

マルコを見かけるとマコトが近寄ってくる、マコトが販売を始めた高級シャンプーから始まり、美容品の数々は既に多くの貴族が買い求める品となっており、これまでマルコも他の貴族に頼まれ、何度かマコトに用意してもらい、少なからず付き合いがあった。


「日本から来た者達が三十人程いるのだが、王命を受け、これからゴウに会い行き受け入れを願いに行くのだ。」

「受け入れって、このホテルで?」

「そうなるな、ここなら何人でも住む事ができるだろ?」

「たしかにね・・・」

マコトは考える、今ゴウが帰って来ると商品を横流ししていることがバレてしまう・・・

「それなら大丈夫、ゴウはこんなこともあろうかとこのホテルに日本人が入れるように設定しているから。」

「なに?いいのか?」

「アレは偽善者だから、日本人を保護したという実績がほしいんだ。そのまま連れてきて構わないよ。」

「しかし、ゴウに一度連絡をしたほうが・・・」

「アレに会いに行くのに時間が掛かるんだろ?

王命なら早いほうがいいんじゃない?

戻って来た時に俺の方から言っておくから大丈夫だ。」

「たしかに、早いほうがいいな。

マコト、ゴウはたしかに日本人を受け入れると言っていたんだな。」

「言ってた言ってた、だから俺達が此処を管理してるんだ。」

「たしかにお前達二人を管理人にしているということはそういう事か。」

ゴウはコウタに石鹸の運搬を頼んだだけなのだが、マルコにすら入ることが出来ないエリアに入れる二人を管理人として認めていた。


「そうそう、だから大丈夫だよ。」

「わかった、明日にでも連れて来るので受け入れを頼む。」

「りょーかい。」

マコトは軽く請負うのだが、マルコとしても王命が叶うならと勇み足で事を進めてしまうのであった。

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