第99話 のんびりとした時間
王都でヒーホンからの大量の来訪者が現れ騒動になっている中、俺は海に出て釣りを楽しんでいた。
「こんなのんびりした時間もいいね。」
釣り船を浮かべ、時間を気にせず魚を釣る。
これはこれで贅沢な時間では無いだろうか。
「ゴウさん、釣れました。」
アヤカが鯛を釣り上げる。
「おっ、いい形だね。アヤカちゃんうまいなぁ〜」
「へへっ。」
アヤカは褒められて嬉しそうにしている。
ミユキも最初船に乗ったのだが船酔いが酷く、今はホテルでスパを楽しんでいた。
「ミユキさんも釣りをすればいいのに。」
「アヤカちゃん無理は言ったら駄目だよ、酔う人は酔うから。」
「でも、ゴウさんと二人の時間っていうのも良いですね。」
アヤカはピトリと俺にしなだれ掛かる。
「おっ!今度は俺の竿にもヒットが!!」
俺は置いていた竿に駆け寄り巻き上げ始める。
「アヤカちゃん!タモ、タモ取って!!」
「もうゴウさん!!」
アヤカは少し不満気に頬をふくらませるものの、タモを取って魚を引き上げてくれる。
「やった、大物の鯛だ。」
「ゴウさんの大きいです。」
「だね?今日一番の大物だ。」
俺達は流れる時間をのんびりと使っていた。
「ゴウさん、アヤカちゃん釣れました?」
港では船が帰ってきた事を見てミユキさんがやって来る。
「釣れたよ、大物だ。
この辺は釣りをする人がいないのかよく釣れるよ、日本の釣人からしたら天国だね。」
魔物のいるこの世界では海に出ることは命懸けの行為である、ゴウのように気軽な気持ちで釣りをする者はおらず、魚たちはスレる事無く過ごしている為にゴウの釣針に気づくことは無くすぐに釣れるのであった。
「じゃあ捌いてきますね、アヤカちゃんも一緒にやる?」
「うん、ゴウさん待っててね。」
「俺も手伝うけど・・・」
「大丈夫ですよ、私達に任せてください。
ねっ、アヤカちゃん。」
「そうですよ、私も女の子ですから魚を捌けるようになりたいんです。
ミユキさん今日もご指導よろしくお願いします。」
「はい、気をつけて捌こうね。」
ミユキは料理が得意であり、その事を知ったアヤカはミユキから料理を習っていたのである。
「それじゃ俺は釣具と船を片付けてくるから、魚はお願いするよ。」
「「はーい」」
二人の楽しそうな返事を置いて片付けに向かう、こんな日々が幸せなのかもしれないと感じるのだった・・・
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