第94話 王都をあとに・・・

「マコトくんが気持ち悪いか・・・」

俺はミユキとアヤカから相談を持ちかけられたがどうしようかと頭を悩ませる。

先日、親睦会を断ったあと二人をつけるような動きが見られ、女性用スパの部屋に侵入しようとした事もあったのだ、当然ながら女性専用エリアに侵入する事は出来なかったのだが・・・


ただその事でホテルから放り出していいのか悩む所だった、マコトは何もチカラを持っていないという、放り出してしまったら生きていく術があるのかどうか・・・


「そうだ、俺達が別の所に行くか?」

「えっ?」

「そもそも俺は世界を見ていきたいのに王都に釘付けになるのは違うと思っていたんだ。」

「でもいいんですか?アリサ王女の訪問もありますし・・・」

「アリサさんはホテルの施設を使えるようにしておくよ、マコトくん、コウタくんがアリサさんの使うエリアに入れないように設定しておけば不敬罪に問われる事もないだろうし。

ユメカさんにはアヤカちゃんの行き先を連絡すればいいかな。」

「私はいいんですけど、アヤカちゃんは?」

「私も行ってみたい。」

「それなら行こうか、この駅の管理はマルコに任せれば問題無いし、二人共出かける準備をしておいて。」

「「はーい。」」

俺達の腰は軽かった、その日の夜には出かける準備ができていた。


「おいゴウ!駅を任せたってどういう事だ!」

マルコが慌てて駆け込んでくる。

「マルコ、早かったね。」

「早かったね、じゃないよ、説明してくれ!」

「いやぁ〜王都も暫く滞在したし別の所を観光しようかなって思ってね。」

「しかし、謁見がまだ済んでないだろ?」

「あんな事があったのに城に行くと思う?」

「・・・」

「謝罪は受け取ったけどノコノコ城に行く気は無いよ。」

「じゃあ、何処に行くかだけでも教えてくれよ。」

「そうだね、取り敢えず以前言ってた海を目指そうと思うんだ。」

「以前って、あの未開発の地か?」

「そうそう、駅を作って放置してたからね。

あっ、暫くは一般開放はしないから。」

「じゃあ、その間連絡はどうするんだ?」

「必要な事があれば、直通列車1台を置いて行くからこれを使って、ただし来訪するだけが目的なのは断ってくれよ。」

俺は専用切符をマルコに預ける。

「はぁ、止めても聞きそうに無いな・・・

国から出ていく訳じゃないんだよな?」

「勿論、マルコもいるしな、迷惑になるような事はしないさ。」

「充分に迷惑なんだが・・・」

「その辺はなんとかしてくれよ。」

「わかった、一応陛下に納得してもらうために一筆だけ書いておいてくれ。

国から出ていかない事と、そうだな国を漫遊する為とか、鉄道網整備の為とか適当に理由を作ってくれよ。」

「わかった、わかった、えーと、これでいいかな。」

俺は国の各地を見て回るという理由を書き、マルコに手渡す。

「これで誤魔化すけど、時々顔を出してくれ。」

「へいへーい。」

「返事が軽いな!」

マルコが頭を痛めるなか・・・


「ゴウさん、さあ行きましょう。」

「旅行楽しみ。」

旅支度を終えたミユキとアヤカが迎えに来た。

「じゃあ、そういう事で。」

「ゴウ、気をつけて行ってこいよ。」

「おう、あとは任せたぞ。」

俺はマルコと握手をして目的地である海を目指すのであった。

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