第91話 マコトの救出
「ゴウさん、少しお話があります。」
「なんだいコウタくん?」
「実は僕の友人が牢屋に捕まっていまして、ゴウさんの口添えで釈放してもらえないでしょうか?」
コウタは王女が毎日のように出入りしている状況を見て、マコトを助けることが出来るのでは無いかとゴウに頼みにきていた。
「牢屋って、俺は犯罪者を助けるつもりは無いよ?」
「犯罪といっても此処に入ろうとして無理矢理何とかしようとした結果なんです。
お願いします、どうか口添えをお願いします。」
「一応話してみるけど、友人って日本人?」
「はい!日本人です!一緒に転移してきた奴なんです。」
「わかった、マルコに聞いてみるよ。」
俺はマルコに連絡を取り、それから暫くしてマコトが俺の所に連れてこられるのだが、その姿に俺は驚く。
「なんでこんなに服がボロボロに?
いくら牢屋でも服ぐらい無いの?」
「いや、そいつは牢名主に色々可愛がられていてな・・・」
マルコは少し濁して話す、流石に男にヤラれてましたと言うのは気が引けていた。
「まあ、いいか。
マコトくんだよね?」
「はい。」
「コウタくんから話は聞いているよ、日本から転移してきて大変だっただろ、まずは風呂に入って汚れを落として来るといい、話はそこからにしよう、コウタくんマコトくんをお風呂に連れて行ってあげて、俺はその間に適当な服を用意しておくよ。」
「ありがとうございます。マコト風呂に案内するよ。」
「・・・うん。」
コウタに連れられマコトは一先ず風呂に向かう。
その間に売店から下着とTシャツ、ショートパンツを用意して着替えとして風呂場置いておいた、風呂の中からはマコトと思われる声ですすり泣いているのが聞こえてきていた。
それ程辛い目に合ってきたのだろう、俺も少し目頭があつくなるのであった。
「マコトくん、少しは落ち着いたかい?」
「はい、少しだけ・・・」
「それならいいんだ、それで君はこれからどうしたい?」
「・・・日本に帰りたい。」
「すまない、それについては俺にどうとか出来る話じゃないんだ。」
マコトの望みは叶えてやりたいがそれを望むのは此処にいるみんながそうであろう。
「・・・ゴウでいいんだよな?」
「ああ、すまない自己紹介がまだだったね、俺は桐谷ゴウです。」
「知ってるコウタから聞いた・・・
なぁなんでそんなにチートなチカラを持っているんだ。」
「サファさんがくれたとしか言いようがない、君達もサファさんについて行ったらもっと強いチカラを貰えたのかもしれないね。」
「そんなの卑怯だ!俺なんてなんのチカラも無いのに・・・」
「卑怯と言われてもな、俺もこうなるなんて思ってもいなかったし。」
「うるさい!俺にチカラがあればあんな目には!!」
「あんな目?」
「い、いや、なんでも無い。」
「それでチカラが無いってどういうこと?
俺は別だけど他の人もジョブとかいう力をもらっているって聞いたけど?」
「くれなかったんだ・・・」
「えっ?」
俺は思わずコウタを見る。
「マコトは神様を怒らせてチカラを貰えなかったんです。」
「・・・マコトくん、それはキツかっただろう。」
「そうだよ!何も出来ないし、牢屋に入れられるし肉体労働させられるし・・・」
「よければ此処に滞在するかい?」
「滞在するに決まってるだろ!ここは日本と同じ生活ができるんだよな!」
「まあそうだね、ホテル暮らしと同じになるけど、ただしルールはあるよ。
他の人に迷惑をかけないこと、これを守れないなら追い出すからね。
特に今は王女様がよく来訪されているし、他にも貴族が来る可能性が高いから、変な事をすると命に関わるから気をつける事。」
「コウタから聞いているからわかってるって。」
「なら問題ないか、コウタくん細かい事の説明は任せていいかい?部屋は空いてる所を自由に決めていいから。」
「わかりました、マコトまずは部屋を決めよう詳しくは部屋を決めてから話すよ。」
「おう!行こうぜ!」
マコトはそのまま向かおうとするのたが・・・
「ちょ、ゴウさんにお礼を言えよ!」
「ありがとうございます!ほら行こうぜ!」
マコトは軽く頭を下げて、我先に向かおうとする。
「すいませんゴウさん。」
コウタはマコトの態度に深々と頭を下げるのだが・・・
「コウタなにしてるんだ、早く行こうぜ!」
マコトはコウタの手を引っ張り連れて行くのだった・・・
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