第85話 母娘の話し合い
アヤカとユメカの話し合いはすぐに行われる事になる。
そして、互いに本心で話し合ってもらう為に俺とタイラーのみならず母娘水入らずでの話し合いとなっていた。
「アヤカ、無事でいてくれてありがとう。」
ユメカはあらためてアヤカを抱きしめる、
「お母さんも無事だったんだね・・・」
しかしアヤカとしては複雑な物がある、異世界に来たとはいえアヤカの中で父親は生きているのだ、それなのに再婚しているユメカに対して素直に喜べない感情があった。
「アヤカが言いたい事もわかるわ、タイラー様の事でしょ?」
「そうよ・・・なんでお母さんは再婚してるの?
お父さんの事はもう忘れたの?」
「忘れてないわ!でもあなたを探すため・・・
ううん、私が生きていく為にもタイラー様は必要だったの。」
「・・・わからなくはないよ、私もゴウさんがいなかったら今頃どうなっていたかわからないし。」
アヤカも奴隷商で奴隷として教育を受けた身である、この世界で生きていく事の厳しさは理解しているつもりではあるものの、実際自分の母親が再婚していると聞かされるとやるせない物があった。
「・・・アヤカはこれからどうするの?」
「これから?」
「そうよ、私と一緒にタイラー様のところに来る?」
「・・・いや、それはしたくない、私までお父さんを裏切るような真似はしたくない。」
「裏切るって・・・いえ、そうね。私が裏切った事に違いは無いわね、でもあなたが大事な事に変わりは無いわ、タイラー様のところに来るなら丁重に迎え入れる準備もしてくださっているわ。」
「・・・それでもいい、私はゴウさんのところに残る。
それに助けてもらった恩返しもまだして無いのにゴウさんの所から出ていくなんて真似はしたくない。」
「・・・ゴウさんはアヤカに優しい?」
「うん、優しいよ。
酷い事をされても逆らえないのに全然そんな事は無くて、私が笑えるようにいつも心配りしてくれてるの。」
アヤカはタイラーの話の時とは違い笑顔で答える。
ユメカにはそれが答えと感じるのだった・・・
「そう・・・
でもねアヤカ、よく覚えておいて、何処で何が合ってもあなたは私の娘よ、困った時は何時でも私を頼ってね。」
「お母さん?」
「私はタイラー様の妻として領地に行かないといけないの、あなたがタイラー様の所に来れないなら一緒に住む事はできない。
でもね、いつでも来て良いのよ、あなたは私の娘ですからね。」
「・・・うん。」
アヤカはユメカと一緒に住む事はできないと感じていた、それをすれば日本に残してきた父親を一人だけにしてしまう、それだけは絶対にしてはいけないと思っていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます