第84話 夫婦の会話

「ユメカ、ゴウ殿と話をしてきた。」

「タイラー様!アヤカを引き取ってくれるのですね!」

「まあ、話を聞きなさい、悪い話では無いはずだ。」

タイラーはゴウと話した事を伝える。


「会えると言ってもそれじゃ・・・」

「ユメカわかって欲しい、ユメカを娶る時に私は無理を通している、それにだゴウ殿が娶ると言っているのだ、これ以上の良縁は無いだろう。」

「良縁?」

「そうだ、ゴウ殿は爵位こそ無いものの陛下もお認めになり国賓として遇される御方であり、家柄に問題は無い。

そして、私の所に引き取ったとしても養女であるアヤカの相手を探すのは難しいであろう、ならばゴウ殿のように望まれた相手に嫁ぐのも一つの道では無いか?

見る限り、アヤカもゴウ殿に懐いている様子であったしな。」

「たしかにあの子が男の人に縋り付くなんて今まで無かったし・・・

でもアヤカはまだ子供ですよ。」

「あれぐらいの子はすぐに大きくなる、それにだゴウ殿はアヤカの為に、いやユメカ、君とアヤカが会うためだけに鉄道を敷設すると言っていたのだ、そこまで望まれていく縁談を良縁と言わずになんと言う。」

ユメカもタイラーに嫁いでから少しでも手助けに慣ればと領地経営について学んでいた、鉄道が敷設されることによるメリットは領地のかなりの益がある事だった。


「でも娘を使ってそんな事・・・」

「これはゴウ殿の好意だ、この話は二人が会うためにと出てきた話で、別段取引材料という訳でもない。」

「でも・・・」

ユメカはアヤカを何としても自分の下に連れて帰りたかった。


「ユメカ、君には酷な事を話しているのはわかっているつもりだ。

だが、アヤカの幸せを考えてあげようではないか。

私の所に呼んだらどうしても奴隷という事がついて回ってしまう。

汚名に晒され過ごす日々がアヤカにとって幸せになるのだろうか?」

「・・・」

「私の都合で申し訳ない事はわかっている、だがどうしようも無い事なのだ。

だがゴウ殿の下にいればそのような立場は関係無い、彼の方はアヤカをそのまま受け入れている、望まれいるゴウ殿のところにいることがアヤカの幸せになるのでは無いだろうか?」

「・・・アヤカと話をすることはできますか?」

「出来るだろう、ゴウ殿は今後も二人の面会が自由に出来ることを望まれておられた。」

「では、一度話をしてみます、私としてもアヤカの幸せが一番ですから・・・」


後日、タイラーから使者が来てユメカとアヤカ二人での面会が叶うことになるのであった。

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