第79話 コウタと出会う
「ミユキ、なんで王都に行っちゃったの!」
「リエ、ゴウさんのお仕事の都合って説明したよね?」
「だ・か・ら、なんであの男の仕事に付き合わなくちゃいけないのよ。」
「お世話になってる以上、私もゴウさんに出来る事でお返ししないと。」
「ミユキ!そんな事を言ってたらあの男に食べられちゃうわよ!」
「・・・食べてくれなかったというか、私が食べようとしちゃったというか。」
「えっ?なに?」
「なんでも無い、ゴウさんはそんなに悪い人じゃないよ。」
「悪い人よ!私とミユキを引き離すし、私に駅や鉄道を使わせないのよ!」
「それはリエがゴウさんに危害を加えようとしたからでしょ。」
「ねえミユキ、せめて鉄道と駅を利用出来るように説得してくれない?」
「一応話しては見るけど・・・」
ミユキとしてもリエがこのまま駅と鉄道が使えない事は同じ日本人としてどれだけくるしい事か理解は出来る、機会をみてゴウにお願いしようと考えていた。
「あっ、此処にいたんですか、ミユキさん、リエさん。」
話している二人にコウタが話しかけてくる。
「「コウタくん?」」
声をかけていた男を見て二人は驚いていた。
「二人共無事だったんですね。」
「コウタくんも無事でよかった!」
ミユキはコウタに笑顔を向け、心から安堵している様子だった。
「は、はい、ミユキさんも無事で・・・」
「ミユキは無事じゃないわよ、あのゴウって男に奴隷にされちゃって!
ねぇコウタ、有り得ないと思わない?」
「たしかに奴隷というのは有り得ないですよね、ましてや同じ日本人を奴隷にするなんて・・・」
「コウタくん違うから、ゴウさんに会う前に奴隷にされちゃって、ゴウさんは私達を見かねて奴隷商から買ってくれた、ううん、助けてくれたの。」
「そもそも、奴隷商に奴隷を買いに行くって所がやらしいのよ、全く同じ日本人として恥ずかしいわ。」
リエは難癖としか思えない八つ当りのような愚痴をコウタに話していた。
「ねぇコウタ、あなたのジョブは何?」
ふとリエがコウタに質問する。
「俺のジョブ?赤魔道士だけど・・・」
「ふーん、どんなことが出来るの?」
「赤魔道士は・・・」
コウタは自身が出来ることをリエに話していた・・・
話しこむうちに日がかけてくる・・・
「リエ、コウタくん、遅くなってきたから私はゴウさんの所に帰るね。」
「俺も一度ゴウさんの所に戻らないと・・・」
コウタが一度視線を入口の方に向けるとコウタを見張る騎士が一人いる。
「コウタくん、あの人は?」
「駅に入ろうとしたら捕まってしまって、まだ仮釈放の状態なんだ、ゴウさんから問題無いと伝えてもらっているから、多分大丈夫だと思うんだけど・・・」
「それなら一度駅に向かいましょう、リエは何処に泊まるの?」
「・・・近くに宿を取ってるわ。
ミユキも駅で暮らすなんてホームレスみたいな真似は止めて私と一緒に暮らしましょ!」
「ホームレスって・・・」
今はホテル暮らしだと伝えようと思ったのだが、駅を使えないリエに取って使えないホテルの事を話すこと自体酷な話かと思い言いとどまる。
「ミユキ、絶対に私が助けてあげるからそれまで浅慮な真似をしちゃ駄目よ!」
リエの力強い目にミユキは後ろめたい気持ちになるのであった。
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