第72話 リスクの罰

「失礼致しました、ゴウ様がこれ程の逸品を出されるとは思わず、お恥ずかしい姿を見せてしまいました。」

我に返ったアリサは顔を真っ赤にして恥ずかしそうに謝罪してくる。


「いえ、女性が甘いものを好きだということはどの世界でも同じですのでお気になさらず。」

「申し訳ありません。」

アリサはもう一度深々と頭を下げる。


「マルコから聞きましたがこの国ではお菓子は甘いだけの物だとか?」

「はい、砂糖を多く使っているお菓子が良いという風潮がございます。

ですがそれは甘過ぎるだけであまり美味しいと感じたことは無いのです。」

「まあ過ぎたるは及ばざるが如しといいますし、程々の甘さが良いということもありますね。」

「はい、皆さんがこのケーキを食べる機会があれば絶対に変わると思います。」

「・・・とはいってもこのケーキを食べれる人は少ないと思います。」

「そうでしょう?たしかにそれ相応の値段はすると思いますが貴族の方なら値段に糸目をつけない方も・・・」

「これが食べれるのは現在私が生活エリアにしている場所なのです。

少なくとも横暴な王子がいる以上、開放して使わす気にはなりません。」

「ゴウ様、謝罪を受けてくれたのではないのですか?」

「駅の使用は認めます、ですが生活エリアにまで招待するつもりはありません。」

「では、これを食べることが出来るのは・・・」

「私が認めた者だけです。

それと私に爵位は必要ありません、誰かに仕えるつもりはありません。」

「えっ、爵位もいらないと言うのですか!」

「はい、爵位があると国に従う必要が生まれそうですから、私は世界を旅したいのです、その為に国の紐付きになると行けない国が生まれそうてすので。」

「身元の保証はできますが?」

「鉄道があればどの国でもやっていけると思います。」

俺は爵位にメリットを感じていなかった、そもそも身元が無くてもここまでやれているのだ、貴族になりしがらみが出来るぐらいなら一人が良いとすら思っていた。


「・・・わかりました、ですがこのジョージア王国で日本の魔法使いは国賓であることをよく覚えておいてください。

何かあれば私の名前を出してくだされば王家が対応することを約束致します。

これは私の家紋が入った指輪です。

これを見せれば私の名を使う事が出来ます、困った時があればお使いください。」

「わかりました、私もマルコがいる国と争う気はありません、何かあればお名前をお借りしますが・・・

先日、王家の方が私に危害を加えて来ましたがその対応にも使えますか?」

「使えます、少なくとも王族同士の争いになりますので私、もしくはお父様が対応することになります。

あと、リスク兄上ですが今回の一件で謹慎が申し渡され、後ろ盾であったケーワイ公爵の娘との婚約破棄が決まりました、これにより王位継承者から大きく後退することになったでしょう。」

「継承権剥奪まではいかなかったのですね?」

「申し訳ありません、当事者のゴウ様からすれば許せない事は重々承知しておりますが継承権剥奪まで行くとケーワイ公爵の反発が予想され安易に行えなかったのです。」 

「まあ、関わることが無ければいいか、ケーワイ公爵家も駅の使用禁止に入れておくか。」

俺がケーワイ公爵家を使用禁止にした為、ケーワイ一族のみならず、末端の家人に至るまで使用禁止になるのであった。

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