第69話 王女の訪問
「アリサ王女殿下、このような場所にお一人で来られるなどいけません、ゴウには私から言いますのでせめて侍女をお付けください。」
中に入るとマルコが慌てたようにアリサを引き止めようとする。
「必要ありません、ゴウ様が危害を加えるつもりは無いのでしょ?
それならば供を連れぬ方が印象も宜しいでしょう。」
「いえ、それだと御身の御噂になりかねません、現在ここはゴウが認める者だけが入れる屋敷であり、他の者がおりません、年頃であらせられるアリサ王女殿下が男が待つ屋敷に供を連れず入るなど、今後どんな影響があるか・・・」
「あら?マルコ伯爵子息もおられるのでしょ?
それに古の魔法使いの方なら王家の者が嫁ぐに値する方です、何かあったとしても問題ありません。」
「アリサ王女殿下・・・
わかりました、私が家名に誓い何も無かった事の証人になりましょう。」
「古の魔法使いの方なら何かあってもいいのですが・・・
いえ、マルコ伯爵子息、頼りにしてますよ。」
アリサはマルコにニコヤカに笑いかける。
「お任せあれ!」
マルコはその笑顔に目を奪われるのであった。
「えーと、アリサ王女、ようこそお越しくださいました、話し合いということですのでこちらにどうぞ。」
マルコが話していた為に俺は少し下がって見ていたのだが、話が纏まったようなので声をかける。
「ゴウ様、此度は兄リスクが失礼いたしました。
王家としてはゴウ様と諍いを起こすつもりはございません。
ここにあらためて謝罪致します。」
「わかりました、とはいえ立ち話もどうかと思いますのでまずは部屋に向かいましょう。」
謝ってくる、アリサに主導権を奪われつつ俺はホテルの陽光の部屋に案内する、ここは半円状の部屋で大きな窓からは自然光が取り入れられ明るい雰囲気の部屋であった。
「まあ、なんていう素敵なお部屋でしょう。」
「王女様にお褒め頂き光栄です。」
「ゴウ様、私の事はアリサとお呼びください。」
「いえ王女様にそのような口の利き方など。」
「かまいません、私のほうが謝罪する立場なのですからどうぞアリサとお呼びください。」
「ではアリサ王女殿下。」
「アリサです。」
「「・・・」」
「アリサ王・・・」
「アリサ」
俺とアリサは笑顔で睨み合う・・・
「アリサさん。」
「・・・今はそれでいいです。
失礼しめした、ゴウ様、あらためて兄リスクの過ちを謝罪させていただきます。
こちらは迷惑料としてお持ちする目録にございます。
表の供に預けておりますのでお納めいただけますか?」
俺は目録を見るとそこには金貨3000枚と子爵の位、そして王都近郊にある王家直轄領を与える旨が書かれていた。
「これは少々もらいすぎでは?」
「ゴウ様を取り込む為です。」
「アリサ王女!!」
アリサが正直に答えた為にマルコが思わず叫ぶ、それをアリサは手で制するのであった。
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