第67話 王子の謝罪
「私は第二王子リスクである!
すみやかに中に招き入れろ!」
駅に到着したのだが、中に入ることが出来ない、リスクとしても謝罪をしたくは無いが王命として来た以上さっさと頭を下げて終わらしたかったのだが・・・
「私達に危害を加えようとした者を中に入れるつもりは無い!要件があるならその場にて申されるが良い。」
俺はリスクを中に入れるつもりは無い、中に入れて襲われた時に傷つけられないとも限らない。
信じれない者を中に入れるリスクを取りたくなかった。
一方リスクは青ざめていた。
ゴウが言う要件とは謝罪することであり、頭を下げる必要がある、だがそれをこの場で行うと・・・
リスクは周囲を一度見回す、そこには駅の様子を見に来た者、第二王子のリスクを見にきた者達で溢れている、そんな中で王子たる自分が平民に頭を下げるなど出来る訳が無い。
「それは非礼であろう!
話し合うにしても外で行なうなど有り得ぬ!
せめて部外者がおらぬ所で話す事が最低限の礼儀であろう!」
「何を言う!王に呼び出され登城した私が連れている女性を気に入ったからという理由で慰み者にしようとした癖に、何が礼儀だ!
礼節を知らぬ者にとる礼儀などない!」
ゴウの言葉に周辺がざわつき始める。
第二王子とはいえ、登城した者を慰み者にしていい理由は無い、むしろ王家に対する不信感が生まれるのであった。
「それは誤解である!私は女性を側室に迎えようという提案をしたのであって、慰み者にしようとした訳じゃ・・・」
「平民は平伏して女を差し出せと自分が言った言葉を忘れたのか!
拒否した俺達に兵を差し向けた癖に何を言う!」
明るみになるリスクの横暴にざわつきが止まらない。
「言わせておけば!
おい、矢を射掛けて黙らせろ!」
「リスク殿下、弓矢を持って来ておりませぬ。」
リスクは護衛に命じて矢を射掛けるように言うのだが謝罪に来た護衛達は弓矢をもってきていなかった。
「ぐぬぬ・・・」
駅に立ち入れぬ事は聞いている、リスクは歯がゆい思いでゴウを睨みつけていた。
そこにマルコが到着する。
「リスク殿下、この騒ぎは・・・」
「マルコ!あの無礼者を引き摺り出してこい!」
リスクの怒りは頂点に達しておりマルコにも当たる勢いであった。
「落ち着いてください、リスク殿下は謝罪に来られたのでは無いのですか?」
「あの無礼者はこの場で頭を下げるように言ったのだぞ!
この!王子の私にだ!
これ程の屈辱は生まれで初めてだ!
マルコ王族への不敬罪であの者の首をはねてこい!」
「リスク殿下、それは引き受けかねます、陛下のご意思に背く事になります。」
「ちっ!あーわるかった!
これでいいだろ!謝罪は終わりだ、帰るぞ。」
リスクは軽く謝罪の言葉を口にしたかと思うと即帰路につく・・・
「リスク殿下、まさか今のが謝罪なのですか?」
「二度は云わん、私は王命に従って謝罪をした。
あとはお前が何とかしておけ。
良いな!」
リスクは不機嫌そうに馬を走らせ伴の者と城に帰っていくのであった・・・
残されたマルコは頭を抱えていた・・・
「結局、あれはなんだったんだ?」
駅に入ってきたマルコに声をかける。
「・・・謝罪にきたおつもりのようだ。」
「あれが謝罪?」
「ゴウ、リスク殿下に外で謝罪しろと言ったのではないのか?」
「言わないよ、要件を言えとは言ったが謝罪に来ているとは知らないし。」
「リスク殿下は謝罪に来たこと事態知られたく無かったのだろう・・・」
「それって謝罪になるのか?」
「本来なら私と一緒に来てゴウに事情を説明してから別室で謝罪、というのが理想だったのだが、私はグラン殿下の派閥にいるからかお呼びがかからなかった。」
「その結果があれか?」
「アレとか言うなよ、まったく事の次第を世間に言いふらすなんて陛下がどれだけ悲しまれるか・・・」
「いいふらした訳じゃ無いんだけどな。
まあこれで決裂だな、俺達は引き上げる事に・・・」
「待て待て!!早まるな!陛下はそんな事を望んでいないからな!
今一度、城に向かい事情を説明してくる、絶対待っていてくれ!」
マルコは急ぎ登城するのであった・・・
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