第65話 王の所では
「・・・マルコはどうしている?
来訪者とともにいたはずだが?」
「はい、門の所におられました、お呼び致しますか?」
「すぐに呼べ、状況をマルコから聞きたい。」
クルトは全てを知っていると思われるマルコを呼び出すのであった。
「クルト陛下の御尊顔を拝すること誠に光栄にございます。」
「肩苦しい挨拶はいい、いったい何があった?
ゴウが何故帰ったか説明してくれ。」
「はい、実は・・・」
マルコはこれまでの経緯に加え、ゴウの立ち去る時の言葉も正直に伝える。
「・・・なるほど、それはリスクが悪いとしか言えぬな。」
マルコの言葉を信じるなら、わざわざ呼び出された所に自らの愛人を差し出せと言われて嬉しい者はいないだろう、そもそも古の魔法使いは礼儀にうるさいという、今回の一件は非礼でしかない立ち去る時の言葉を信じるならまだ交渉の余地は残されているようだが、その為にはリスクの罪を明らかにして、罰するしか無い。
「マルコお前の意見を聞きたい。」
「おそれながら、ゴウは頑固なところがございます、残された言葉の通り、謝罪をしっかりすれば問題無いとは思いますが、それまで鉄道を開く事が無いのは間違い無いと思います。」
「それは困るな。
駅が出来てから、いつ鉄道が開業するのか問い合わせが増えているのだ、貴族、民の期待を裏切る訳にはいくまい。」
「リスク殿下の謝罪が必要になると思いますが・・・」
「自分が引き起こしたのだ、頭を下げるぐらいさせねばなるまい、私の方からキツく言っておく。」
「かしこまりました、ゴウに伝えてみます。」
マルコはゴウと話し合う為に駅に向う。
それと入れ違いにリスクはクルトに呼び出される。
「リスク、そなたは私の客人に非礼を働くとはどういう事だ?」
「父上、お待ち下さい、非礼と申しますが、王家の者にとって血を残す事が何より大切な事にございます。
それに古の魔法使いと言うならばこそ、王家の血に取り込むべきかと存じます。」
「それは別の話である、リスクそなたはゴウに謝罪するように。」
「なっ!王子の私が平民如きに謝罪しろと!」
「そうだ、今回の一件はリスクに非がある、王家の者とはいえ謝罪すべき時は謝罪する必要がある。
これは王として命じる。」
「ですが!
・・・いえ、わかりました。
王命を拝命致します。」
王命を出されればリスクといえど断る訳にはいかない、屈辱を感じつつも受けるしか無かったのだ。
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