第64話 騒動
ミユキとアヤカは迷うこと無く人力車に乗る、そして俺も・・・
俺が乗った所で車夫としてラクーンが現れる。
「なんだ!その魔物は!近衛兵よ、魔物が現れたぞ!すぐに撃退せよ!」
リスクが声を上げるとぞろぞろと周辺から兵士が集まってくる。
「なっ!こんな所に何故魔物が!リスク殿下御下がり下さい!」
兵士達はリスクを守るように前に立ち剣を構える。
「マルコ、それじゃ失礼させてもらう。
王様とグラン王子には宜しく伝えておいてくれ。
ラクーン、駅まで頼む。」
ラクーンは頷くと人力車を引いて走り出す。
「逃げる気だぞ!逃がすな!斬れ斬れ!」
リスクの叫び声に兵士達も斬り掛かって来るのだが俺の力である人力車に攻撃は効かない、剣が当たる前に謎の障壁により止められるのであった。
「何をしてる逃がすな!」
入ってきた門に向かい駆け出す俺達を止めようと次々と兵士が集まってくるが人力車が駆ける進路から兵士が押し出され俺達の前に立ち塞がる事が出来ない。
「門を閉じろ!」
俺達を逃さないように門を閉じようとするのだが人力車が門の前に着くと閉じた問が開き始める。
「どうなっているんだ!誰が門を開けている!」
「誰も開けていません!むしろ閉めているのです。」
門番達は門を閉めようと努めているのだが門は閉まるどころか全開となる。
俺はラクーンに言って一度反転して追ってきたリスクに向き合う。
「俺はマルコとの交渉しか応じない、今後話があるならマルコを通せ!
今回の一件は国王陛下に呼ばれ登城した俺達をそこのリスク王子が邪魔したことが原因だ!
俺はこの一件が片付くまで王都の駅を開業する気は無い!
場合によっては全駅の停止も検討させてもらう。」
俺の言葉は追ってきた兵士は勿論の事、騒動を聞きつけて見に来ていた貴族にも聞こえる事になる。
「さあ、帰ろうか。」
俺達の進路を遮る事は出来ない、俺達はそのまま駅へと帰るのであった・・・
その頃、ゴウの到着を待っていたクルトの下に騒動の話が伝わって来ていた。
「なに?リスクが来客に因縁をつけている?」
「まったくアイツは何を考えて・・・来客?それはゴウという男ではないよな?」
「わかりません、ですがアレス伯爵家子息マルコ殿がお連れしている平民との事にございます。」
「な、なんだと!その者は私が呼び寄せた者である、即座にリスクを止めよ!」
「申し上げます!王城内に魔物が発生、現在兵士が討伐にあたるも攻撃が効きません!」
「はぁ?魔物?いったいどうなっているんだ!詳しく教えろ!」
「リスク殿下がおっしゃるには城に訪ねて来ていた者が賊であり、魔物を召喚したとの事にございます。」
「リスクが因縁をつけていたのはゴウであったな・・・ ゴウは魔物を召喚できるのか?」
クルトは謎が深まる事を感じる。
そこにはさらなる急報が届く。
「陛下!侵入した賊を取り押さえる事が出来ず、逃走を許してしまいました!」
「なんだと!門を閉じれば逃げれぬではないか?」
「・・・門を閉じる事ができませんでした。」
「はぁ???」
クルトにはわからぬ事ばかりであった、そもそも謁見に来ていたはずなのに何故こんな事態になるのだ・・・
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