第62話 ゴウの知らぬところで・・・

「マルコ、中々いい人材だな。

あのレベルの食事を出せるのは大きい。」

帰りの馬車の中でグランはマルコに話しかける。


「グラン殿下のお気に召したのなら何よりにございます。」

マルコとしては友であるゴウを売るような真似はしたくないのだが、アレス伯爵家としてはグランの意向を無視することなんて出来ない。


「マルコ、お前の気持ちはわからんでも無い、だが私が王位につくにはもっとチカラがいるのだ、その為の一つにゴウを取り込む事になるだろう。」

現在、王位継承権を持つ者は3人いる、長男のマーサ、次男のリスク、そして三男のグランである。

通常なら長男のマーサで決まるところなのだが、マーサは病弱であり、王の職務に耐えられそうに無い、したがって次男、三男が跡目を争い水面下での戦いを行っていた。


「グラン殿下、ゴウは義に厚いタイプの漢にございます。

ただ、逆に非礼に対しては極端までに拒絶致します。

くれぐれも付き合い方をお間違え無きようにお願いします。」

「わかっている、マルコの兄ローグが失脚したのはその為だろう。

マルコ、お前の父、ポーロ伯爵は私の支持者である、お前もくれぐれも覚えておくがいい。」


もともとマルコはグランとの面識はほとんど無かった、あとを継ぐ予定だったのはローグであり、アレス伯爵家として交流していたのはローグなのだが先日の失態によりマルコが急遽後継者扱いとなり、その縁もあり、ポーロからグランを紹介されたのであった。


「アレス伯爵家はグラン殿下と共にあります。

それは私も同じことにございます。」

「よくぞ言った、今後もゴウを取り込むよう全力を尽くせ。」

グランは上機嫌で帰城していくのであった。


一方、マコトは卵をおろしている市場に行ったのだが・・・

「うわぁ、卵に毛が付いてるよ・・・」

日本と違う衛生状況に困惑していた。

「なあ、これって生で食べれる?」

「生?お前頭は大丈夫か?卵を生で食ったら腹を壊すだろ、そんな事もわからないのか?」

「じゃあ、どこで生が食えるんだ?」

「食えるところなんてないよ!まったくうちで食あたりを起こしたなんて言われたらたまったもんじゃ無い!さっさと帰れ!」

マコトは販売店の店主から追い返されてしまう。


「くそっ!マヨネーズで大富豪作戦も上手くいかないのか!」

実験する分の卵ぐらいは入手出来るのかもしれないが、マコトにその考えは浮かんでいない、あるのは一発で大富豪になるような夢みたいな話であった。

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