第61話 説明
「これだけでもゴウの価値は比類無き物と言っても良いが、本題の鉄道、駅について聞かせてくれぬか?」
「はい、鉄道とは駅と駅を結ぶ交通機関であり、人や荷物をこれまでより早く安全に運ぶ手段にございます。」
「確かにかなりの時間を短縮出来ると聞いたな、それが王都から乗れるということか?」
「はい、許可を頂ければ王都から駅のある地域まで向かうことができます。」
「安全にといったが、魔物への対策はどうなっている?」
「これに対しては魔物だけでなく誰も線路内に侵入出来ないようになっております、駅の立ち入りに関しても私が指定すればその人の立ち入りを禁じる事が可能です。」
「なるほど、不可思議な話ではあるが先日の騒動を見る限り嘘ではあるまい。」
「先日の騒動は不徳の致す所にございます。」
「いや、事情は聞いている、何人であろうと自らの利権の為に無理を通せば拒絶されるのも致し方無い事であろう。
して、駅について聞きたい、アレス領の駅では独特の食べ物や道具を販売していたようだが、現状アレス領でしか販売していなかったな、今後王都で販売する予定はあるか?」
「あります、ご許可が頂けるなら王都での販売も行います。」
「わかった、父上に奏上しておく。」
「ありがとうございます。」
俺は深く頭を下げる。
「まあ堅い話はここらでいいだろう。
ゴウ食事も楽しみにしているぞ。」
グランは美味しい紅茶を用意したゴウが出す食事を楽しみにするのであった。
食事の時間が来るまで俺は下がっていようと思ったが、グランから雑談を持ちかけられ下がるに下がれなかった。
「ゴウ、先程の部下の注文を聞いていたのはゴウの女か?」
「同郷の者にございます、不幸な事に奴隷商に売られていた所を私が購入して庇護しているのです。」
「なんと同郷の者が・・・
ゴウ借りに同じように同郷の者が売られていたらどうする?」
「出来るなら購入して庇護しようと思ってます、勿論本人の意思を尊重するつもりですが。」
「お人好しだな、だが覚えておこう。
私の耳目が届けばゴウの同郷の者がいれば庇護してゴウに伝えようではないか。」
「ありがとうございます。」
俺は例を述べる。
「しかし、惜しい物だ、奴隷でなければ側室に迎えても良いぐらいの器量だな。
どうだ?城に侍女として仕えさせぬか?」
「殿下、お戯れはやめていただきたい、私は同郷の者を差し出すような気はございません。」
グランは俺の反応を確認しているような目で見ている。
「なるほど、ゴウの怒る部分はここか・・・
良かろう、戯れの詫びだ、何処の貴族が差し出すように言ってきても私の名前で断るが良い。」
グランは自身の名を使わせる事により、恩を売る事を選んたのである。
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