第58話 マコトとコウタ

マコトとコウタは夜になるまで駅周辺を探したが入る事は出来ず、仕方なく二人で酒場に来ていた。

「はぁ、入れなかったな。」

「どうなってるんだ・・・

まあ考えるのはあとにして、まずは再会を喜ぼうか。」

コウタは気を取り直し、マコトとの再会を喜ぶ。

「おう、そうだな!再会を祝して!」

二人は再会を祝して乾杯するのだった。


「それでコウタは今何をしてるんだ?」

「俺は教会で神父をしているぞ。」

「神父?」

「ああ、もらったジョブが赤魔道士だったんだ、その特技で回復魔法が使えて、その回復魔法で治療した人の薦めもあって教会で神父として働かせてもらっているんだ。」

「神父が酒場で飲んでていいのか?」

「そこまで戒律の厳しい宗教じゃないよ、救いを求めてきた人に手を差し伸べるのが最優先みたいな所かな、俺の回復魔法が重宝されているのも人助けに繋がるからだと思う。

それでマコトのジョブは?」

「・・・ない。」

「えっ?」

「特殊なチカラが何も無いんだよ。」

「そういえばお前ルミウム様の怒りを買って何も無しでとか言われていたけど・・・

本当にないのか?」

「無いんだ、何をどうしても何も出てこない、今は商会の下働きをして生活している。」

「マコト・・・大変だったんだな。

今日は俺の奢りだ、腹いっぱい食べてくれ。」

「コウタ!お前はいい奴だな。」

マコトは友人の優しさに涙を流し、喜んでいた。


「しかし、この世界の食事はもう少し何とかならないものかな。」

コウタは食事をしながら、ふとマコトに言う。

「まあな、醤油が無いのは仕方ないにしてもせめて胡椒とかマヨネーズとか調味料は欲しいよな。

うん?マヨネーズ・・・

そうだよ、マヨネーズがあった!」

「どうしたマコト?」

「無いなら作れば良いんだよ。」

「作るってマヨネーズをか?」

「そうだよ、マヨネーズは簡単に出来るはずなんだ!」

「簡単って言っても造り方わかるのか?」

「・・・ちょっと待てよ、思い出すから、確か卵と油がいるはずなんだよ。」

マコトは昔読んだ小説を思い出そうとするがマヨネーズで儲かったという話を覚えていてもその作り方までは覚えていなかった。


「それじゃ作れないよな、それに新鮮な卵を手に入れるのも難しいぞ。」

日本と違い卵の管理は悪い、衛生面を管理していない卵を生で使用するのは危険性しか無い。


「いや、きっと道はあるはずなんだ!俺がここから成り上がるストーリーがあるはずなんだぁぁぁ!!」

マコトはまだ諦めていなかった、逆境からの成り上がりストーリーは定番である、まだ目覚めていないはずのチカラを含めて、時がくれば輝く未来を迎えると信じていた。


「マコト、酒がまわったか?

それより堅実に生きたほうがいいって!」

「俺はやるぞぉ!!」

コウタの忠告もマコトの耳に届いているかわからなかった・・・

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