第56話 ホテル
「ここが王都の駅か。」
「ゴウ、宿泊はアレス家の屋敷があるから宿を探す必要は無いからな。」
「待て!マルコ俺は此処に泊まるつもりだ。」
「ここって、駅にか?」
「ああ、此処に泊まりたいんだ。」
「まあそれはいいが城に上がる前に一度屋敷に来て父上に会ってもらえるか?」
「それは構わない、都合のいい時を教えてくれ。」
「わかった、わかり次第連絡する。」
マルコは一度屋敷に帰っていく。
そして俺達は駅のロビーを歩きホテルの入口へ・・・
「さあ行こうか。」
俺は扉を開けホテルへと入っていく入口にはコンシェルジュの格好をしたタヌキのゆるキャラが・・・
「なんでタヌキ?」
「あれって服装は違うけど地元のゆるキャラです、名前はまちゅりとか・・・」
「流石に同じ名前で呼ぶのはどうかと思うからな、タヌキにちなんでラクーンにしよう。」
「ラクーン?」
「タヌキの英語読みがラクーンドッグだから、そこからラクーンってしたんだ。」
「ラクーンさん、よろしくお願いします。」
アヤカはラクーンに声をかけると恭しくおじぎをしてくれる。
「さて、部屋を確認しようかな・・・
うわぁ、こんなにあるんだ。」
部屋の種類は様々であった、単純に高い部屋で言えばインペリアルスイート、珍しい部屋ではメゾネットタイプの部屋まであった。
「ゴウさん!見て下さい、スパがあります!」
ミユキは部屋より施設の方に目がいっていたようだ、スパを見て目を輝かせている。
「ゴウさんもミユキさんも子供みたい。」
アヤカはヤレヤレといった表情で見ているがラクーンがロビーラウンジのメニューを差し出すと目の色が変わっていた。
「えっ、なにこれ、こんなお菓子が食べれるの?」
「なにアヤカちゃん?」
アヤカの表情が変わったのを見てミユキもメニューを診るのだが・・・
「うわぁ美味しそう・・・」
ミユキの目も奪われていた。
「ラクーン、部屋は最上階のアンバサダースイートを2つ取ってくれ、俺達はとりあえずロビーラウンジに行く、ミユキさん、アヤカちゃんお茶にしようか。」
「「はい♪」」
二人の声が揃う、ラクーンは深々おじぎをしたあと、ロビーラウンジに案内してくれる。
「私は、イチゴのショートケーキ、アイスクリーム添え、ミユキさんは何にするの?」
「私は〜ティータイムスイーツセットにするわ。」
やはり二人は女の子である、甘いお菓子には目がないようだった。
「ゴウさんは何にするの?」
「俺はコーヒーでいいよ、そんなに甘い物は食べれないしね。」
「えーもったいないよ!」
「はは、アヤカちゃん、王都にいるうちはいつでも食べれるからね、慌てて食べる必要もないだろ?」
「そうですね、ゴウさんありがとうございます。」
アヤカは頭を下げてお礼をいう。
「アヤカちゃん?」
「だって、こんなに美味しそうなお菓子を食べれるのも、今普通に暮らせているのも全てゴウさんのおかげですから、あらためてお礼を言いたかったんです。」
「アヤカちゃんはいい子だね、俺も子供を持つならアヤカちゃんみたいに育って欲しいな。」
「子供・・・」
ミユキは自分のお腹を擦り、頬を赤くしながらゴウをチラリと見る。
「ミ、ミユキさん、そんな意味じゃないからね!」
俺は目があったミユキに動揺する。
「ゴウさん、どんな意味だったんですか?」
アヤカちゃんは意地悪そうに聞いてくる。
「うっ、なっ!」
まだ子供であるアヤカに説明するわけにはいかない、今度は俺が恥ずかしさから赤くなる番だった。
「ふふ、ゴウさん可愛い〜」
「こら、大人をからかわない!」
俺はアヤカがからかってきたことに気付き、軽く叱るのであった。
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