第55話 王都ジョアに向かうのだが・・・
「ゴウさん、妙に楽しみにしてませんか?」
王都に向う道中、楽しそうにしているのがアヤカばれた。
「そ、そうかな?気の所為じゃないかな?」
「そんな事ないです、この前まで礼儀作法を覚えることが嫌だって言っていたじゃないですか、それなのに王都に行ったら礼儀作法を披露する場があるのに、あまり気にしてない、ううん、別の事を気にしているように見えるんですけど?」
「ア、アヤカちゃん鋭いね。」
「それで王都に何があるんですか?」
「まあ、隠すような事じゃないからいいか、実はね、駅にホテルがあることがわかったんだ。」
「ホテル?」
「そう、これまで仮眠室とか職員用の部屋を使って部屋にしていたけど、王都ではちゃんとした部屋に泊まれるんだ。」
「それって他の駅には作れないんですか?」
「東京駅を模した王都の駅だけだね。
しかも東京駅を模した物は一件しか作れないみたいなんだ。」
「そうなんですね。」
「そう、だから王都に滞在中はホテルに泊まる事が出来るよ。」
「ホテルに・・・」
「勿論どんな所かは到着しての楽しみになるけど、俺も楽しみにしてるんだ。」
「ゴウさんがウキウキしてるのはその為なんですね。」
「そんなに浮かれてた?」
「はい、見ててわかるぐらいには。」
アヤカに指摘されて恥ずかしく感じる、いい年した大人が浮かれている姿は想像するに恥ずかしい物があった。
「あはは、恥ずかしいな。」
「そんな事無いと思いますよ、見てて可愛いと思いました。」
「うっ!」
アヤカの純粋な言葉は俺の羞恥心を切り裂く、俺の心は大きくダメージを受けていた。
「あれ?ゴウさん、項垂れてどうしたんですか?」
恥ずかしさに項垂れていた姿に席を離れていたミユキが声をかけてくる。
「ミユキさん、アヤカちゃんが俺の心を切り裂くんだ。」
「はい?何かあったんですか?」
「ゴウさん!人聞き悪いですよぉ〜」
アヤカから事情を聞いたミユキは軽く笑っていた。
「ゴウさん、アヤカちゃんをからかわない。」
「羞恥心を切り裂かれたのは本当だよ。」
「ゴウさんがウキウキしてたのは私も気付いていましたよ、てっきり王都に行くのを楽しみにしていると思ったんですがまさかホテルに泊まる事を楽しみにされていたなんて思いませんでした。」
「まあ、王都に行くのも楽しみなんだけどね、それでもやっぱりホテルに泊まれるのは良くない?」
「ええ、私も楽しみになりました、ホテルというぐらいですからアメニティも期待できるんでしょうか?」
「わからない、着いてみないと何があるか俺もわからないんだ。
だから楽しみって所もあるんだ。」
「確かにそれは浮かれても仕方無いかも知れません。」
俺とミユキはまだ見ぬホテルに心躍らせているのであった。
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