第53話 マルコの頼み事
「マルコ、ゴウ殿はどうしている?」
ポーロは屋敷に戻って早々マルコにゴウの状況を確認する。
「ゴウ殿?いえ父上ゴウは私の謝罪を受け入れ鉄道を再開してくれました。」
「それも大事だが、ゴウ殿には陛下にお会いしてもらいたいのだ。」
「えっ?しかし、ゴウは陛下に会える身分では無く、礼儀作法も陛下にお会いできるような物ではありませんよ。」
「陛下が御希望なされている、陛下はゴウ殿を古の魔法使いではないかとお思いなのだ。」
「父上のお手紙を受けてから私も直接確認しましたがヒホンでは無く、ニホンから来たと言ってました、それに陛下の前で失礼があった場合を考えると良くない結果になるのではないでしょうか?」
「マルコの言いたい事もわかる、だが陛下が私に直接御希望されたということはアレス家に命じたも同然、マルコ、ゴウ殿を説得してくれないか?」
「・・・わかりました、ですが代わりにこの地をゴウに与えてくれませんか?」
マルコはゴウが滞在する予定の土地をゴウに譲渡するように願う。
「こんな僻地をか?我が伯爵領になってはいるが何も無い場所だぞ。」
「ゴウのチカラなら何も無くとも問題無いそうです、むしろ何もない方が色々出来るみたいですので。」
「わかった、此度の迷惑をかけた分と陛下への謁見依頼をかねて、ゴウ殿には我がアレス伯爵家の寄り子として男爵の位と土地を与える、国に届け出を出しておこう。」
ポーロは褒美としてアレス伯爵家が持つ爵位の一つを与えてゴウを貴族にすることにより、クルト国王に会える身分を作る事にしたのだった。
「男爵?」
俺はマルコから思わぬ提案を受ける。
「そうだ、ゴウが男爵になり土地を得れば好きに開発しても問題無いからな。」
「確かに自由に出来る土地が手に入るのは嬉しいけど、礼儀作法も無い俺が貴族になっても叩かれるだけじゃないかな?」
「ゴウがなる男爵は我がアレス家に属する貴族位になる、父上と私が認めている以上、他家に言われる事は少ないはずだ。」
「でもなぁ・・・」
俺は乗り気では無い、現代日本人である俺が貴族社会に馴染めるとは思えない。
「ゴウ頼むよ、ゴウには貴族になってもらってやって欲しい事があるんだ。」
「・・・嫌な予感しかしないな。」
「実は・・・」
「待て話始めるな!」
「国王陛下に会ってもらいたい!」
「話すなって言っただろ!
って、国王様に会う?」
「そうだ、ゴウと会いたいと御希望なされていて、アレス家としては断る訳にはいかない。」
「・・・聞かなければ知らないふりが出来たのに。」
「伝えない訳にはいかないからね。」
「・・・断ればお前に迷惑が掛かりそうだし、わかった引き受けるよ、ただし礼儀作法については本当に駄目だからな、会うにしてもその辺りは何とかしてくれないか?」
「わかった、何とかしよう。」
マルコの頼みを引き受け国王と会うことになるのだった・・・
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