第48話 ヒホンとニホン

「本当にお前は欲は無いのか。」

マルコが呆れた様子を見せている。

「欲か、そりゃ色々あるけど、それは自分で叶える物であって、誰かから貰う物じゃないだろ?」

「そう言えるお前は格好いいと思うよ。

だが俺に何か出来ることがあったら言ってくれ、出来る限りの事はしたいつもりだ。」

「その時は頼むよ。」

俺とマルコは固く握手を交わすのだった。


それからマルコと今後について話合いを始める。


「なぁゴウ、お前はヒホンという国から来たのか?」

「ヒホン?違うなニホンという国から来たんだ。」

「似ているといえば似ているな・・・」

マルコは伝承が嘘とは思えないが直感として名は違えど同じ物のように感じる。


「それがどうしたの?」

「いや、我が国にらヒホンから来た古の魔法使いが建国の際に大きく貢献したという伝説があってね、もしヒホンの古の魔法使いなら陛下にお会いしてもらいたいと思ったのだが・・・」

「陛下って、国王様のことだよね?

そんな偉い人に会うのは怖いかな。

ほら礼儀作法なんて知らないし。」

「まあ、そうだよな、違ってたらお咎めがあるかもしれないし。」

「怖いことを言うなよ。

また引きこもるぞ。」

「それは止めてくれ、また混乱が酷くなる。」

「どうしようかな〜」

「止めろよ!やるんじゃないぞ!」


「あ、あのマルコ様、ヒホンから来た古の魔法使いって、その後どうなったかお話はあるんでしょうか?」

ミユキはおそるおそるマルコに質問する。

「古の魔法使いのその後かい?

残念な事に建国後その功績を妬んだ貴族からの嫌がらせを受けていつの間にか姿を消したんだ、全国で捜査したのだけど見つかることは無く、初代国王陛下は大いに悔やんだという話が残っているよ。」

「ミユキさんどうしたの?」

「ゴウさん、もし古の魔法使いがニホンからの転移者だったらその後帰国出来たかわからないかなと思ったんです。」

「確かに帰る術も探さないといけないか。

マルコ、ヒホンについて何か話は残ってないかな?」

「ヒホンについてか?

これまで何人かヒホンから来たという人がいてな、古の魔法使いはヒホンの事を文明の栄えた国だと言っていたとか、ただ周りの者がそれがどういう物か理解出来なかったとあるな。」

「何人か来ていたのか?」

「そうだ、古の魔法使いユミ、剣士アキ、商人のキヨタカの3人が我が国に来たと記録に残っている、それぞれ伝説級の活躍をしていて、貴族の子弟は寝物語に聞かされて育つな。」

「どんな他の二人は伝説?」

「剣士アキは王国に襲いかかる凶悪な魔物を笑いながら血肉に変えていったとある、その強さは当時の騎士が足下に及ぶ事も出来ず、天下無双の称号が与えられたとか。

あと商人キヨタカは娯楽を生み出した人だな、数々の娯楽を創造して人々を楽しませたとある。」


「ヒホンから来た人と言っても色々あるんだな。」

「そういえば剣士アキはヒホン人の漢が一度剣を握ればたとえ鬼だろうと神だろうと斬ると言っていたとか。

現に神を斬ったとかいう逸話も残っているぞ、まあ流石に誇張しているとは思うが。」

「日本人とは違うな、日本人で剣を握れる人なんてほとんどいないし、そんな戦闘民族じゃ無いね。」

「まあ、ゴウを見る限り戦闘とは無関係だな。」

「その通りだ、争い事は苦手だよ。」

俺が軽く笑うとマルコも納得したように笑っていた。

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