第46話 王家からの呼び出し

クルトの耳にも鉄道の停止とアレスの混乱の様子が伝わっていた、そこで状況の把握の為にポーロは呼び出されていた。


「アレス伯爵、昨今の貴殿の領内での混乱について聞かせてもらいたい。」

「クルト陛下、申し訳無い事にございますが、私の嫡男であるローグが鉄道を管理していた者と諍いを起こした為に鉄道が停止となってしまった次第にございます。」

「鉄道か、かなり画期的な乗り物と聞き及んでいたが管理する者と諍いを起こしたぐらいで使えなくなる物なのか?」

「現在はそのようにございます、今、息子マルコが管理者との交渉に及んでおりますので近々吉報をもたらせるかと。」

「マルコ?確かそなたの次男であったな、管理をしていたのは嫡男のローグでは無かったのか?」

「・・・お恥ずかしながら、次男のマルコがゴウという管理者と共同経営の形で運営しておりました。」

「嫡男に箔をつける意味はわからぬでも無い、だが諍いを起こして混乱を招くのはよろしく無いな。」

クルトにはポーロの考えがわかるが現状上手くいってない以上一言言う必要があった。


「申し訳ありません、現在ローグには謹慎を命じており廃嫡を含め検討しております。」

「廃嫡とは穏やかでは無いが他家を巻き込んでいる以上、致し方無いのか。」

「それだけではございません。」

「なに?」

「ゴウという管理者はヒホンから来ている古の魔法使いの可能性を考えております。」

「なに!!!」

クルトはヒホンからの魔法使いと聞き思わず椅子から立ち上がる。


かつて建国のおりにアイテムボックスという物資を無限に収納し、進軍を支えた魔法使いユミがいた、彼女がいなければ建国は出来なかったと初代国王が語っていた事は王家として非常に重く受け止めていた。


他にも凶悪な魔物を根こそぎ薙ぎ払ったと言われる剣士アキ。


新たな娯楽を生み出す事で文化的発展をもたらした商人キヨタカ。


彼等はヒホンから来た者として歴史に名を刻み、世界の発展に貢献していた。


その為に王家はヒホンから来た者を手厚く保護する方針を取っていた。


「まだ、可能性にございます。

ですが聞く所によると鉄道や駅はいつの間にか建設が行われた事、売られている物は何処からか取り寄せたのかわからぬ物の食べたことの無いような料理があったと聞きました。」

「確かにそれは古の魔法使いやもしれん、アレス伯爵、ゴウを丁重にお迎えするのだ。」

「はい、今マルコがそれを含めて話している所にございます。」

「アレス伯爵、お主も直接出向きゴウが王都に来るように取り計らうのだ。」

「はっ!」

アレス伯爵は勅命を受け、急ぎアレスに戻り対応に追われるのであった。



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