第45話 駅に入る

マルコが駅に着くと扉を開けようとする人がいるのだが開く気配は無かった。

「マルコ様、扉が開かないようです、どうしますか?」

「ゴウが私とは交渉すると言っていたのだろう、ならば私なら入れるのではないだろうか、皆下がっててくれ。」

「マルコ様!危険にございます!」

「バーサク、ゴウは友人を攻撃するようなやつではないよ。

では行ってくる。」

マルコが扉を開けるとそれまで開かなかった事が嘘のように扉が開く。


「扉が開いたぞ!!」

それを見た住民が入ろうと近づいて来るのだが・・・


「静まれ!今入ろうとしても無駄であろう!私がこれからゴウと話し合ってくる、それまで待つのだ!

これ以上、ゴウの機嫌を損ねるような真似は慎め!」

マルコは駆け寄る者を静止する、何処の誰であれ住んでいる家に無理やり侵入しようとしていたら気分を害するだろう、自分達はこれから話し合いをするのだ、遅いかも知れないがせめてもの誠意を見せるべき時なのだ。


マルコは駅に入る。

これまで何度も訪れたことのある駅だが人がいない事がこれ程静かなのかと思うほど静寂に包まれ、自身の足音しかしない。


「ゴウいるのか?」

マルコはゴウが普段居る管理室をノックするのだが反応が無い。


「すまない、入らせてもらうよ。」

マルコが管理室に入ると人影どころか生活感も既に無かった。

「もういないのか・・・」

マルコが少し絶望を感じた所で一枚の紙がテーブルに置かれていた事に気付いた。


マルコがその紙を読むとそこにはゴウが立ち去る経緯と行き先、そしてそこに向かうための切符が用意されていた。


「アライに行ったのか、一番ホームに行けばいいんだな。」

手紙の通りに一番ホームに向うとそこには1両だけの汽車があるのだった。

「これに乗れということなのだろうな。」

マルコが乗車すると汽車は目的地に向かって走り出す、マルコの肩にはアレス領がかかっているのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る