第43話 捕縛

アレスにいるローグの元にはポーロ以上の苦情が届いていた、訪れていた貴族達からは帰りの手段から始まり、滞在する場所の提供、商人達からは鉄道が使えなくなったことへの損失補填、住民からも売店の物を買えなくなったと苦情まみれになったいた。


「くそっ!何で俺のところに持ってくる!鉄道の経営はマルコとゴウとかいう平民ではないか!」


ローグは自分の事を棚に上げ不満を漏らすが、実際駅にいた者達からアレス伯爵の命令で使えなくなったことは聞かれており、兵士達の口から経営者のマルコは監禁されている事、ポーロは滞在しておらず、ローグの命令だということも知れ渡っていた。

また商人から鉄道の新路線についてローグが金銭を要求していたことも発覚しており、今回の一件全てがローグが欲を出した結果だと伝わっていた。


その為、全ての不満が苦情という形で屋敷に届いているのだが、ローグはそれを認めようとはしなかった。


「おい、駅にはまだ入れないのか?」

「はっ!扉が開かず侵入出来ません。」

「ならば扉を壊してでも中に入れ!」

「しかし、人集りも出来ており、あまり強硬な手段は住民の反発を招く恐れが有ると考えますが・・・」

「住民がなんだ!さっさと奴を俺の前に引きずり出して来い!」

「は、はい!!」

ローグの剣幕に兵士は従うしかない、扉を壊す為に大槌を持っていき扉の破壊を試みるのだが・・・


「ローグ様、扉が壊れません!!」

「なっ!くそっなら窓や壁でもかまわん!なんとしても入れ!」

ローグの命令を実行するのだが結果は変わらない、ただこの乱暴な行為は住民達見られていることに気付いていなかった。


それから何日もかけ駅を破壊しようとするものの、駅に侵入は果たせない。

今日もローグ自ら陣頭指揮に立ち駅への攻撃を指示していたのだが。

そこにポーロからの使者がやって来て・・・


使者からの伝言を聞いた、軍長バーサクは即座に命令を下す。

「ローグ様を捕らえよ!」

「なっ!何をする!バーサク血迷ったのか!」

「ポーロ様からの御命令です。

全兵士、住民達に告ぐ、ローグ様はポーロ様の御命令無く兵を動かし、町に混乱をもたらした罪により捕縛と至った!

此度の一件、ポーロ様の御意志ではない、すぐに混乱を鎮める今暫し待て!」


バーサクの声が響き渡ると住民達は再び駅が再開するのでは無いかと歓喜の声が上がるのであった。

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