第42話 出ていったあと・・・

俺がアレスを去ってから町は大混乱になる、それはカリフ村の時とは比べ物にならない程であった。

マルコがアレスを中心に路線を繋いでいた事もあり、アレスには多くの人が集まっていた。

その為混乱の中心となっていた。


「おい、どうなっているんだ!俺は今日中に町に帰らないと行けないんだ!」

「お嬢様がケーキを待っているんです、店を開けてください!!」

売店に買いに来ていたのは他家の貴族もおり、問題は貴族社会にまで上げられていた。

「アレス伯爵、うちの娘が貴殿の町から帰れなくなったとの事だが、どういうことかね?」

「ルドマン伯爵、これはその私もどういう事か状況を掴みかねておりまして、すぐに確認を取りますので・・・」

王都に滞在していたポーロは意味もわからず釈明する事になっていた。


「いったい何があったのだ、マルコは何をしている!!」

屋敷で怒りを滲ませていた所にやっと領地から報せが届く。

「なに?マルコが監禁されている?

脱税で鉄道を徴収?」

ポーロは報せを受けても瞬時に納得する事は出来ない、脱税も何もマルコを通して鉄道からの売上げの一部は税として無違いなく納められている、お陰で懐が潤っているのだ。

報せの意味がわからない。

「ローグ様のご命令により、マルコ様を監禁して上、鉄道の共同経営者であるゴウ氏を脱税の容疑で逮捕しようとした所、捕縛に向かった兵士のみならず駅にいたすべての人が強制的に外に出され、以後中に入れない状況となっております。」


「なんだ、その状況は・・・

いや、ゴウ氏が古の魔法使いというなら不可思議な状況にも理解すべきなのか、そもそも鉄道を建設している様子すら無かったのに突如として完成していた、彼が魔法使いだったということか。」


ポーロは古文書にあった魔法使いの事を思い出していた。

かつてこの国を建国した際、ヒホンという存在しない国から来た若者がおり、当時の王を助け建国した後、姿を消した者達がいたのだ。

彼等は礼儀正しく、義を知る者だが一度刃を交えると何処までも強くなる存在だと伝えられていた。

そして、彼等が一番嫌うことは強制させる事である、道理が通っていれば問題無いが道理の通らぬ事に対して身分の上下は関係無く命をとして信義を通したとある。


もしゴウがヒホンから来た魔法使いならローグが行った事は許し難い事であろう。


「ポーロ様?」

「いや、ゴウ殿は何処に行かれたかわかるか?」

「ゴウ殿?・・・いえ、何処に行かれたかはわかりませぬがマルコ様の交渉だけは受け付けると言っていたと伝え聞いております。」

「ならば急ぎマルコの監禁を解き、交渉に向かうように伝えよ、なおローグの身柄を取り押さえワシの元に連れてこい、場合によっては廃嫡とする。」

ポーロはローグの到着まで針の筵のような謝罪に追われる日々が続くのであった・・・

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