第37話 急ぎの取寄せ

王都ジョアに着いたマルコは急ぎ屋敷に向かい首を長くして待つポーロの所に向かう。


「マルコ、よく来たな、してお菓子は持ってきたか?」

「こちらにございます。」

「でかしたぞ!すぐに城に向かおう、マルコすぐに着替えてこい。」

「わかりました。」

マルコが部屋にいき、礼服に着替えに向かおうとしたところ、既に礼服を身に纏っている、兄ローグの姿があった。


「父上、献上に向かうお供は私が務めましょう。」

「ローグか、確かに陛下にお会い出来るこの機会、嫡男のローグが顔を見せておいた方が良いな、ローグすぐに向かえるな?」

「当然にございます。」

「ならば私に付いてこい、マルコは屋敷でゆっくりするといい。」

「父上!!しかし、これは・・・」

マルコも嫡男を立てるということはわかる、だが陛下が何か質問して来た時に何も知らない二人に答えられるとは思えない、その為にもせめて自分が向かうべきだと言おうとするのだが。


「マルコ、お前は屋敷にいろと言われたんだろ、大人しくしていろ、陛下にお目にかかる栄誉、後を継ぐ訳でも無いお前には必要無いだろ?」

「父上、兄上、せめて私もお連れください!」

「マルコ、陛下をお待たせするつもりか?

私達二人なら今すぐ城に上がる事が出来るのだ、陛下にお前の着替えを待たすのか?」

「それは・・・」

「父上参りましょう、陛下をお待たせすることはなりませぬ。」

「そ、そうだな、マルコご苦労だった。」

ポーロはローグと一緒に城に向かうのであった・・・


「ほう、これが流行りのお菓子か?」

「はっ、急ぎ取り寄せた次第にございます。」

「ふむ、しかし、お主の領地を考えるとかなり早いな、如何にして早く届けたのだ?」

「それこそ我が忠誠にございます、屋敷の者達の粉骨砕身した結果にございます。」

「・・・まあよい、してこの菓子について聞きたい、これはどのような菓子なのだ?」

「そ、それは・・・」

ポーロは答える事は出来ない、ただ取り寄せただけなのだ。


「おお、すまんな、アレス伯爵は知らぬ話だったのだな、確か息子が管理していると言っておったな、後ろにいるのが息子か?」

「は、はい、嫡男のローグにございます。

ローグ挨拶を致せ。」

「はっ、アレス伯爵、ポーロが嫡男ローグにございます。御尊顔を賜り光栄にございます。」

「うむ、ローグよ、遠路ご苦労である。

この菓子はどのような物か説明せよ。」

「こ、この菓子は・・・

そう駅で売っておりまして、多くの人が買い求めているのですがあまりの混雑ぶりに手に入れる事が難しい物にございます。」

「それは知っている、この菓子はどのような味か話してみよ。」

「そ、それは・・・そう食べてみてのお楽しみにございます。

未知の物を食べる事も食の醍醐味かと存じます。」

ローグも食べたことが無い物に対して答える事は出来ない、苦しい言い訳を思いつき話す。


「ふむ、それも一興であるな、ローグよ、詮無き事を質問したな、ご苦労であるぞ。」

ローグの答えに満足したのかクルトは大きく笑いローグを労うのであった。

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