第32話 女性の怖さ

「リエ!なんてことをするのよ!」

「ミユキ何を怒っているの?それより駅に入れないんだけど!」

「当然よ、リエはゴウさんを傷つけようとしたんだよ。拒絶されたの、わかってるの!」

「あんな奴に拒絶されても平気よ、それよりミユキ大丈夫だからね、何をされていたとしても私達の友情に変わりは無いから!」

「ちょっと、何をされていたって何よ、まあ言いたい事はわかるけどゴウさんはそんな人じゃないわ!」

「ミユキこそ何を言って・・・言わされているのね、あのゲスめ!」

「リエ!!言わされてなんて無いし、私とゴウさんはリエが考えているような事をしてないから!」

「本当に?まだされて無いの?

良かった〜」

リエは安堵からか目に涙を浮かべている。


少し落ち着いてきた所でミユキはやっと今までの事を説明出来た。

「じゃあ私のやった事って・・・」

「最低最悪よ、あんな良い人他にいないよ・・・」

ミユキは頭が痛い、いくら良い人とはいえ命を狙われたら気分を害しているだろう、自分の親友がそうなってしまった事に罪悪感を感じる。


「私、謝罪するわ!」

リエは真っ直ぐな性格である、悪い事をしたら謝ればいいと単純に考えていた。

「リエ、謝ってすまない事もあるのよ。」

「何を言ってるの、私達子供は謝ればだいたいの事は許してくれるのよ。」

「一応私からゴウさんに話してみるからちょっと待ってて。」

ミユキは頭を抱えながらゴウの所に向かう。


二人が話している頃、俺は自室に帰っていたのだが救急箱を持ってきたアヤカに切れた頬の手当てをしてもらっていた。

「ゴウさん、痛そうです・・・」

アヤカは消毒液を塗りながら泣きそうな表情を浮かべている。

「大丈夫、ちょっと痛いだけだから、大袈裟に血は出ているけど大した事は無いよ。消毒してガーゼで押えていたら治るよ。」

「でも、痛い事にかわりは無いですよね。」

「ちょっとだけね、でもアヤカちゃんが気にする事じゃ無いから。」

「そんな事無いです!ゴウさんは私にとって大事な人です、そんな人が傷つけられて気にしない訳無いです。」

「ありがとう、でも大丈夫だから。」

しかし、言葉と裏腹に表情がさえない俺をアヤカは見つめていた。


「ゴウさん、何かあったんですか?

元気無いですよね?」

「そうかな?」

「はい、傷が痛いのかと思ったんですけど、違いますよね?

よかったら話してもらえませんか?

人に話すと楽になることもあるってお母さんが言ってたんです。」

「・・・」

「どんな話でもいいんです、話して楽になりましょう。」

「・・・暗い話だよ。」

「大丈夫です、暗い話こそ吐き出してしまいましょう。」

「はぁ・・・実はね。」

俺はこの世界に来てあったこと、そしてニナの事について話す、そして裏切られた事も・・・


「そんな事があったんですか・・・」

「そうだね、情けない事に逃げるようにアレスにやって来て、仕事に集中して忘れるようにしてたけど、今日リエさんと話していて女性と会話が成り立たないという事が身に沁みたというか・・・」

「むう、ゴウさん、私も女性ですよ。」

「あはは、アヤカちゃんは女性というか女の子って感じかな?」

「褒められて無いです!でも話してくれてありがとうございます。

これでゴウさんの事が少しわかりました。」

アヤカは満面の笑顔を見せてくれる、その笑顔に少し心が癒やされる思いがした。


「あの、ゴウさん少しお話を良いですか?」

そこにミユキがやって来るのであった。

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