第31話 訪問者
張り紙をしてから1週間後、一人の人物がアレス駅の管理室を訪ねて来た。
「ここにミユキがいるって本当!!」
最初に応対に出た俺に勢いよく詰めより胸倉を掴んでくる。
「ま、まって、く、くるしい・・・」
俺は喉をふさがれ息が出来ない。
「ねぇ!どうなのよ!!」
俺を揺さぶって質問するが俺も答える事が出来ない。
「なにごと・・・!!
リエ!無事だったの!!」
「ミユキ!!」
リエは俺を離しミユキのもとに駆け寄る、二人は再会を喜び抱き合っている。
「ゴウさん大丈夫です?」
「ありがとうアヤカちゃん。」
ミユキと一緒に来たアヤカは俺を心配してくれる。
「えーと、君はミユキさんの友達で良いんだよね?」
「・・・あんたは誰よ?」
再会を喜んでいた二人に声をかけたのだがリエの瞳からは敵意を感じる。
「俺は桐谷ゴウ、ミユキさんを保護した者だ。」
「保護ねぇ・・・」
リエの瞳から疑いの眼差しを感じる。
「取り敢えず話をしないか?」
「まあいいわ、事情を聞きましょう。」
「なら応接室で話そうか、ミユキさん案内してあげて。
アヤカちゃんはお茶を用意してもらえるかな?」
「わかりました。」
「すみません、リエは悪気があるわけでは無いんです。」
リエの感じが悪い事をミユキは謝っているのだがその様子が気に入らないようでリエは後ろから睨んでいた。
場所を応接室に移して話を始める。
「あらためて、俺は桐谷ゴウ、君達と違って女神サファに付いていきこっちに来た者だ。」
「たしかにいたわね、そんな人が・・・
私は柏木リエ、ミユキの親友ね。
それで何であんたとミユキは一緒にいるの、それにそんな小さな子まで。」
「偶然二人を見つけたから保護したんだよ。」
「保護ねぇ、よく言うわ。」
自己紹介するもののリエからはトゲのある感じが無くならずむしろ増していくようだ。
「ちょっとリエ、さっきから感じが悪いわよ。」
「ミユキは黙ってて、ねえ私がわからないと思っているの?二人についているのは奴隷紋よね?
あんた日本人の癖に女の子を奴隷にしていいと思っているの?」
「リエ違うの!これは!ゴウさんは私を助けてくれたのよ!」
「ミユキ、言わされているのはわかってるわ!
今すぐこの男を始末して自由にしてあげる!」
リエは机の上にあったボールペンを手に取り俺に投げつけてくる、俺は思わず身をよじったのだがそれが幸いした、俺がいた所の椅子の背にボールペンが刺さっている。
微かに頬をかすめたのか濡れた感じから血がたれているのがわかる。
「なっ!ボールペンが刺さった!!」
いやそれより身をよじっていなければ俺は死んでいたかも知れない、俺は座っていた椅子から離れリエから距離を取る。
「ちっ、外すなんて、やっぱりボールペンじゃ弱すぎたのね。」
リエは懐からナイフを取り出す。
「おいおい、冗談じゃ済まないな、お前が言う日本人というのはいきなり人を殺すような奴なのか?」
「なんとでも言いなさい、ミユキを奴隷にして穢すような奴は死んでお詫びすればいいのよ。」
「待って!リエ!誤解があるから!落ち着いて!!」
ミユキはリエの腰にしがみつき止めようとするのだがリエはナイフを振りかぶり俺に投げつけようとしてくる。
だが、俺の能力は俺が安全に旅行をするための物である、命の危険を感じたこの瞬間、頭に思い上がる物があった。
「俺を害する者を領域から排除する。」
「えっ、なに?」
リエの足元が光ったかと思うとリエの姿が消え失せる。
「何があったの、リエは?ゴウさんリエはどうなったんですか?」
「たぶん、外にいるよ、彼女は駅に入る事は出来ない。」
「それってゴウさんのチカラなんですか?」
「そうだね、今までこんなチカラがあるとは知らなかったよ。
ふぅ、ちょっと疲れたから俺は休むよ、ミユキさんリエさんと話すなら駅の外でお願いするよ。」
「ゴウさん申し訳ありません!!」
ミユキは深く頭を下げるが疲れた俺は軽く手を振り自室に帰る事にするのだった。
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