第30話 名前
「ミユキさん、異世界に来た人ってわかるかな?俺を含めて8人いたと思ってたけど。」
「私が判るのはクラスメイトの4人です。
一人は友達の柏木リエ、
あとの3人は松田コウタくん、村川カツくん、あとは・・・新庄・・マコトくんだったかな?
すいません、新庄くんについては名前は怪しいかも知れません。」
「わかった、思い出せたらまた教えてくれるかな?
アヤカちゃんのお母さんは何ていう名前なのかな?」
「水島ユメカです、ゴウさんお母さんを宜しくお願いします。」
「勿論探そうと思うよ、でもその為にはもっと情報が欲しいね。
出来たらこっちに連絡を取ってくれたら助かるんだけど・・・」
新規で鉄道が敷設、いや現代にある交通機関が現れればどうにかしてでも連絡を取ろうとしてくれると考えている、いや各駅に各人の名前を書いて張り紙を出しておけば更に確率は上がるだろう。
「みんなで駅を回って張り紙をしておこう、そしたら駅に来た人が連絡をしてくれるかも知れない。」
「それ良いですね、あっ、連絡先をどうします?携帯電話は無いし・・・」
「ここの、アレス駅まで来てもらうのはどうだろう?
料金は格安にしているつもりだから、頑張ってくれれば乗って来れると思うのだけど。」
「それについてはなんとも言えませんね、私自身何も出来ずに奴隷になってしまった訳ですし。」
「ごめん、そんなつもりじゃ無かったんだ。」
「いいんです、私が出来ていなかっただけなんですから、ですけど他の人は今何をしているのでしょう。」
ミユキは心配そうにクラスメイトを思っている様子だった。
「大丈夫、元気にしていると信じよう。
俺達が暗くなっても仕方無い、今は出来ること、やれることをやろう。」
「そうですね、じゃあ早速張り紙を作りましょう、アヤカちゃんも一緒に作るの手伝ってくれるかな?」
「うん、お母さんも見つかるかな?」
「きっと見つかるわ、きっと大丈夫よ。」
暗くなりそうになりながらも俺達は張り紙を作っていく、そこには探し人として各人の名前とミユキ、アヤカが探していること、連絡をしてほしいと記載しておいた。
「じゃあ、他の駅にも張りに行こうか。」
アレス駅の時刻表の隣に張り出したあと、俺は二人を連れて他の駅に向かおうとするのだが・・・
「あのゴウさん、どう見てもこの列車満席に見えるのですけど・・・」
乗ろうとしている汽車は既に席が埋まっているように見え乗れる雰囲気は無い。
「大丈夫、無ければ作るだけだから。」
俺は後方に1両追加する。
「えっ?」
「ほら乗ってすぐに出発の時間だからね。」
「こんなに簡単に作れるんですか?」
「うん、新たに走らせるならダイヤを調整しないといけないけど、車両の追加なら問題無く出来るよ、まあ牽引する車両のチカラによって出来ない時もあるけど、今の所余裕を持たせてあるからね、必要ならいつでも乗れるようにしてるんだ。」
「本当に規格外ですね。」
「ゴウさん、ミユキさん貸切りだね。」
ミユキは驚きを隠せないようだがアヤカは楽しそうにしている。
「そうだねアヤカちゃん、この車両の切符は売ってないから俺達以外は乗れない完全に貸切りになるね。」
「凄い!アヤカ貸切り列車に乗るの初めて!」
「じゃあ出発しようか。」
俺達が乗ってすぐに汽車は走り出す、張り紙を張っていく為に各駅を回る旅は数日かかるのであった。
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