第29話 マコトの商機

10日間耐えしのいだマコトは釈放され町の中に入る事が出来た、それと引き換えにしたものは大きかったがマコトはそれについて考える事を止めていた・・・


「まずは商会に行こう、金が無いとまた・・・」

身体がブルリと震える、牢名主はまた来いよと言っていたが真っ平ごめんである、何としても金を稼がなくてはいけない。


マコトは地球の知識を売って金に変えるつもりであった。

「リバーシですか?」

「そう黒石と白石があって間に挟むと自分の色に変わるんだ。」

マコトは運良く会ってくれたボード商会会長オセロに異世界の定番、リバーシを売りつけようとしていた。

「ふぅ、つまりこれですね。」

オセロは自社商品であるオセロを持ってくる。

「えっ、なんであるの・・・」

「これは我が商会の創設者が発表したオセロというものになります、かなり普及され多くの人が知っていると想っておりましたが・・・

どうやらまだまだだったようですな。」

「いや、リバーシがあったとしても他のはどうだ!」

マコトはチェス、将棋、ウノ、トランプ、花札、果ては人生ゲームと思いつく限り話してみるがすべてボード商会の商品として創設者が発表したものであった。


「マコトさん、我が商会の商品を売りつけようとするのはどうかと思いますね。」

「待てよ!なんでお前の商会にすべてあるんだよ!

どう考えても日本から来たんだろ!」

「日本ですか?たしかに創業者のキヨタカ様は日本人と人に名乗っていたようですね。」

「なんだと・・・先をこされたのか・・・」

「商会で取扱っている商品はすべて地球にあるもので自分が考えた物ではないと当時新たな娯楽を考えた功績により爵位を授かる話が出たときに辞退したという話が伝わっております。

それから我が商会ではキヨタカ様の高潔な魂を受継ぎ誠意ある商売を常としております。」

「何なんだよ、なんでそんな奴がいるんだよ!」

「なんでと言われましても・・・」

オセロは苦笑いするしか無い。


「じゃあ俺はこれからもうすれば良いんだよ、」

マコトは途方に暮れる。

「よろしければ我が商会で働きませんか?」

「えっ?」

「日本人と名乗る人を放置するのはキヨタカ様に顔向け出来ません、職の提供ぐらいは行えますが、どうでしょう?」

「それでいい、まずは城壁修理に戻ることが無ければそれでかまわない!」

マコトにとって城壁修理はトラウマ物であった、本来なら駄々を捏ねる男なのだがこの時ばかりはオセロの言葉に縋り付くのであった。

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