第24話 新庄マコト
俺はマコト、新庄マコト神に選ばれ異世界転移を果たした筈なのだが、今は窮地である。
「なんでだ、なんで俺がスキル無しなんだよ!!」
マコトは転移された場所で地面を叩く。
「いや、待てよ、これはもしかして追放系なのでは無いのか、ここからの大逆転があるんじゃないか。」
マコトは自分に都合の良いように考える。
「そうと決まればやれることの確認だな、まずは鑑定!!」
目の前の木に対して鑑定と唱えるが木があるだけである。
「ま、まあ、鑑定が無いということがわかった事が進歩と考えるべきだろう。
アイテムBOX!ストレージ!」
当然ながら何も起きない。
「メラ!ヒャド!バギ・・・」
何も起きない。
「ドラ◯エじゃないんだな、そういえばジョブとか言っていたし、ファイヤ!ブリザド!サンダー!」
何も起きない。
「何かが違うんだ、ヒール!ロックバレット!」
思いつく限り様々な呪文を唱えるが何かが起こる事は無かった。
「おいおい、まさか戦闘系じゃなくて生産系なのか、ちょっと趣味とは違うんだけどなぁ。」
マコトは錬金術での成り上がり方を思い出す。
「たしかポーションとかを売って成り上がっていくんだよな、よしまずは町に行って錬金術の本を手に入れるところからだな。」
マコトの数少ない良いところはへこたれない事だった。
「しかし、成り上がってどうするかな、定番は王女様を嫁にしたり、同級生にあんな事やこんな事をしたりするんだよな。」
マコトは一緒に来たミユキを思い出す、付き合いこそほとんど無いものの、クラスメイトとして多少なり近付いた事はある、誰に聞いても学校一の美少女と答えるミユキが自分を求めてくる様子を想像してニヤけている。
「やっぱ、異世界は最高だな!」
何も成していないのにマコトは自分の未来を信じて疑わなかった。
「はぁ?町に入るのに身分証がいる?」
「当たり前だろ、王都に身元不明の者を入れる訳にはいかない。」
「待て待て、そんな逆境ストーリーなんて求めて無いんだよ、ほら城で勇者召喚したとか話があるんだろ?」
「そんな話など無い。」
「いやいや、あるはずだよ。
何せ俺が異世界からやって来たのだからな!」
門番相手にドヤ顔を見せる。
「怪しい奴だな、こっちに来い、取調べを行う!」
「そうそう、それでいいんだよ。
これで王国と縁が出来るイベントなんだな。」
「理由のわからない事を言うな!さっさと来い!」
門番はマコト取調べる為に別室に連れて行く。
マコトの前途が多難になっていることに本人はまったく気づいていなかった。
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