第23話 二人とお話
家にしている駅の管理室に帰るとマルコは変に空気を読んで帰宅していく、俺達3人が部屋に残されていた。
「二人とも話を聞く前に何か飲もうか、お茶と紅茶とオレンジジュース、あとは炭酸系があるけどどれがいい?」
「えっ?あるんですか?」
ミユキは驚いた表情を見せている、いや駅に入ってからずっと驚いた表情を見せ続けているが正しかった。
「あるよ、どれでも好きな物を言って?」
「じゃあ紅茶で・・・」
「アヤカちゃんは?」
「オレンジジュースをください。」
俺は二人にペットボトルの紅茶とオレンジジュースを持ってくる。
その事に目を丸くし、一口飲んで涙を流していた。
暫く時間をおいて俺達は話し始める。
「じゃあまずはミユキさんから聞こうか、何があったのかな?」
「ゴウさんにも色々聞いてみたいのですけど・・・
じゃあまずは私からゴウさんが去ってから、残された私達は加護を貰えるという話だったのですがみんな適当にジョブとかいうものを与えられ、この世界に来ることになりました。」
「ジョブ?ミユキさんはなんのジョブだったの?」
「私は吟遊詩人です。歌う事が出来て竪琴が弾けるようになるらしいのですけど・・・」
「けど?」
「竪琴を買うお金はありませんし、何処でで歌うにも場所代が必要だと言われて、気がついたら借金を背負わされ奴隷商に売られてしまいました。」
「・・・大変だったんだね。
アヤカちゃんは?」
「アヤカはね、こっちに来たらお母さんもいなくて、捜したんだけど会えなくて、そしたら怖いお兄さん達に捕まって・・・奴隷になってました。」
アヤカの表情が曇る。
「アヤカちゃん、お母さんにきっと会えるからね、一緒に探そう。」
「うん、おじさん宜しくお願いします。」
涙をこらえるアヤカの頭を軽く撫でる。
「あの、ゴウさんの事も教えてもらえませんか?」
「俺のこと?」
俺はこれまでの事を二人に話す、サファから移動手段としても地球にあった交通手段を呼び出せる事、それに付随して駅が呼び出せる事、そしてその売店からペットボトルの飲み物を用意したことも・・・
「あ、あの、ゴウさん、どれだけチートを貰っているんです?」
話せば話すほどミユキは驚きを増しているだけだ。
「たぶん、サファさんは誠心誠意できるだけの事をしてくれたんだと思う、聞く限り代わったルミウムさんは厄介払いしたかっただけに感じるな。」
「そ、そんな・・・」
「ただ、吟遊詩人ってジョブにも何か特別なチカラがあるんじゃないかな?
話しぶりを聞く限り、天照大神に対していいわけする為のアリバイ作りがいるみたいだったし。
そうだ、アヤカちゃんはなんのジョブをもらったのかな?」
「アヤカはね、召喚士なんだけど、でもね何も召喚できないの。」
アヤカは少し暗い表情を見せる。
「何か条件があるのかも知れないね、大丈夫だよ、きっと凄いチカラがあるよ。」
「うん。」
「さて、これからの話をしようか、二人にはここで暮らしてもらおうと思います、その中で掃除や料理などの家事全般をお願いしたいと思います。」
「はい、わかりました。」
「・・・はい。」
元気に返事を返してくれたアヤカと違いミユキは少し覚悟を決めた表情で返事を返してくる。
「見てわかる通り、ここを見れば日本人なら何かしらの反応があると思う、アヤカちゃんのお母さんやミユキさんの友人達もコンタクトを取ってくる可能性があると思う、少なくともそれまでは一緒にいるべきだと思っているけど、どうかな?」
「わかりました。」
「はい、ふつつか者ですが、宜しくお願いします。」
「ミユキさん堅くない?もっと肩のチカラを抜いたほうがいいと思うよ。
まあ、ほぼ初対面だし仕方無いか、話はこれぐらいにして今日は早めに休もうか、部屋はすぐに作るからそれまでは楽にしてていいよ。」
俺は二人の部屋を増設する間、二人にのんびりするように言って部屋を出るのであった。
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