第17話 再起を・・・

俺は一人で過ごしている。

食べる物は売店にある駅弁やパンなど種類こそ多くは無いが一通りある、飲み物も売店もあれば管理室に水道もある、生きていくだけなら充分な物があった。


そんな中で、俺は呼び出せる物を確認していく。

「えーと、鉄道はD51まで呼び出せるのか、それに船、ふむ観光船と港の建築か。」

調べて行くと利用者の数が能力の開放に繋がっていた事がわかる。


「利用者が多いほうが良いのかな。」

俺は再びカリフ村の鉄道の再開を考えるがやる気にならない。

「駄目だな、新しい所で再度行ったほうが良さそうだ。

そうなると、アルスに向かってみようかな。」

俺は以前に行ったアルスを思い出す、アルスは軽く見ただけではあるがマーサやエドモンドより栄えていた、次に何処に行くかはおいておいても情報収集の為に立ち寄っても良いかも知れない。


俺は再びアルスに行ってみる事にするのだった。


俺がアルスに到着すると以前より人だかりが出来ていた。

「あれ、何かあったのかな?」

俺が駅に降り立つと周囲から声が上がる。


「な、なあ、これって鉄道ってやつじゃないのか?」

その中で一人の男が話しかけてくる。

「ええ、そうですけど?」

「ということはここからマーサやエドモンドに向かえるって事なのか?」

「向こうで色々ありましたので向うつもりは無いです、それにこの森を抜けるんですよ、怖くは無いのですか?」

「こ、怖いと言えば怖いがそれでも噂の町に行ってみたい気持ちがあるんだ。」

「噂ですか?」

「そうだ、今王国で一番の話題はこの鉄道だよ、急にカリフ村とマーサ、エドモンドを結ぶ高速の乗り物、乗った者の話だと景色が吹き飛ぶように進んで行くとか。」

「そこまでじゃないと思いますけど。

まあ、向こうでも運行は止まってますので行っても乗れませんよ。」


「止まっている?だが君は乗ってきたんだよね?」

「ええ、そうですよ。」

「どういう事だい?良くわからないのだが・・・」

「えーと、動かしているのが私というだけです。」

すると男はガッシリと肩を掴んでくる。


「く、詳しく話を聞かせてくれないか!」

「め、目が怖いですよ。」

「そんな事はどうでもいい、さあ聞かせてくれ!」

「わかりました!わかりましたから顔を近づけないでください!」

男の顔がキスされそうな程近付いて来るので俺は話すことと引き換えに離れてもらうことにする。


「と言ってもたいした話では無いですよ。」

俺は売店を呼び出し、ペットボトルのお茶を取ったあと、待合室にあった椅子に腰をかけ、話し始める。


「ま、待ちたまえ、それはいったい?」

「えっ?お茶ですよ、口に合いませんか?それならジュースでも。」

「いや、そもそもそれはなんなんだ?」

「あっ・・・」

俺は動揺していたのか普通にペットボトルのお茶を出すという失態に気付く。


「こ、これは、水筒みたいな物です、ここを開ければお茶が飲めるという優れものです。」

「見たことも聞いたことも無い物だな。」

男の目が少し鋭くなる。


「ま、まあ、話をしましょう、お気づきかも知れませんが私はカリフ村で鉄道を管理していた者でゴウといいます。」

「私はアルス伯爵が次男、マルコ・アルスという者だ。」

名前を聞いたことにより俺の表情は固まるのであった。

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