第12話 神の御前で
時は遡る、
サファに連れられゴウが去ったあと、ルミウムのもとには日本から来た7人が残されていた。
「哀れなやつだな、異世界に行くのに不良品の神に連れていかれるなんてな。」
マコトはゴウの姿が消えるまで嘲笑っていた。
「ちょっと、マコトくん。
人の悪口を言うのは止めたほうがいいわよ。」
ミユキはその罵詈雑言を止めようとするのだが、
「いいんだよ、それに考えてみろよ、こちらの神様はさっきのゴウを連れて行った奴の事が嫌いなんだろ、ここでポイントを稼ぐのが最重要なんだぜ。」
マコトとしても下心がある、神の恩恵を受ける為に重要なのは気に入られる事だ、必要ならすぐに土下座をする覚悟もあった。
「おい、人間ども。」
「はい、なんでございましょうか。」
ルミウムが声を発した途端、マコトは土下座をしてルミウムの方を向く。
「・・・何をしている?」
「これは私どもがいた世界において目上の人に対する最高の敬意にございます。」
「それでは話もできん、顔をあげろ。」
「はい。」
マコトは冷や汗が出ている、ルミウムの声のトーンから機嫌が良いようには感じられない、頬を一筋の汗が流れる。
「心配するな、お前達を始末するとアマテラスが煩いからな、ちゃんと異世界に送ってやる。」
「は、はい、ありがとうございます・・・」
「そこのお前は、そうだな、ナイトでいいか、お前は竜騎士、お前は・・・」
ルミウムは指差しながら呟いていく。
「あ、あのどういう事でしょう。」
「お前達が向こうに行くにあたり与えるチカラだ、考えるのも面倒だからな、地球にあるファンタジーな話を参考にしておいた。
感謝するが良い。」
「そう言われましても何がなんだか・・・」
「詳しくは使って覚えろ、簡単な使い方は見えるようにしておいてやる。」
マコトはナイトと呼ばれた自分のチカラを確認するのだが動かなかったら物理攻撃無効という微妙な効果と剣を装備できるとだけあった。
「へっ、この程度で何をしたら・・・
あの、もっと私達に合ったチカラをくれませんか?」
マコトは目を疑う、これから異世界で無双しようと思っているのにこのチカラで出来るとは思えない、先程のサファの話ならアイテムボックスや不老、美男子には出来たはずなのだ
そもそも、サファは話を聞いてチカラをくれるような事を言っていたはずなのだ。
「何を言っている、人間如きが神に時間を取らせるなど合って良い訳が無かろう、チカラを授けられるだけでも感謝するべきだ。」
「でも、俺達はあんた、貴方達の失敗で異世界に行くんだろ?もう少し配慮をしてくれても・・・」
「図々しい!お前にチカラを授ける事はしない、我が世界で惨めに過ごすがよい!」
「お許しください!!」
ルミウムはマコトに授けたチカラを取り上げそのまま異世界に送り込む。
「他に依存のあるものはいないな、ならば授けられたチカラを使い生き抜くが良い。」
ルミウムが手を振ると全員の姿が消えていく。
「さて、片付けが終わりました、サファの退職を見に行きましょうかね。」
ルミウムは責任を取らされ退職するサファを見物に向うのであった。
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