第9話 商人ラキ
「ラキさん、いますか〜?」
知り合いの店ということもあり、ニナは声をかけながら店に入っていく。
「おや、ニナちゃんじゃないか、遂にニナちゃんも村を出たのかな?」
「違います、私は村を捨てたりしません!
今日は実験と、買い出しに来たんです。」
「実験?それは何かな?」
「村とエドモンドとの新たな移動手段の実験です。」
ニナは自分の事のように胸を張って言う。
「カリフ村との移動かい?
たしかにカリフ村は奥地にあり過ぎて不便だからねぇ・・・
実験は成功したのかい?」
「成功ですよ!なんと一時間で村から来れました。」
「・・・なに?いくらなんでもそれは嘘だろ、ここから村まで山道を抜けて一日はかかる、どれだけ急いで来たとしても何時間もかかるだろう。」
「それが着いたんです!これがお父さんから預かってきた手紙です、ゴウさん出してください。」
俺は預かっていた、手紙はラキに手渡す。
「君は?」
「ゴウといいます、先程言っていた移動手段を用意した者です。」
「君がね・・・ふむ。」
ラキは手紙を読む、そこには今日の朝に出発したことと、塩などの生活用品を用意して欲しいと書かれていた。
「タラスが嘘をつく理由も無いか、わかったすぐに用意する。」
ラキは荷馬車に載る量の生活用品を用意する。
「ラキさん、もっと沢山載りますからもっと用意してください。」
ニナはニコニコ笑いながらラキに伝える。
「ニナちゃん、荷馬車に載らなくなるよ?」
「町の外に沢山載る移動手段があるんです、ラキさんも一度見て下さい!」
「やれやれ・・・」
ニナの強引さに引かれるようにロケット号を見に行くのだが・・・
「な、なんだ、これは!!」
ラキは固まる、初めて見る物が眼の前にあるのだ。
「これが新しい移動手段です。村まで一時間ぐらいで着きますよ。」
ニナは自信満々に答える。
「これが移動手段・・・
たしかに荷馬車以上に載せるスペースがあるな。」
現在ロケット号には客車が一つ、貨物室が一つ付いている状態だったのだが、それでも荷馬車よりは広いスペースであった。
「そうなんです、だからもっと沢山用意してください。」
「わかった、ニナちゃん、これに私も乗ることは出来るかい?」
「えーと、ゴウさんどうなんですか?」
「出来ますよ、村と関係深い商人さんみたいですのでご招待させてもらいます。」
俺はチケットを一枚出す。
「これは?」
「これが無いと乗ることが出来ないのです、あっ、でも貨物の積み込みはチケットが無くともこちらから出来るようですが発車した時にチケットが無いと駅の外に出される仕組みのようです。」
「うん?何を言っているのかわからないのだが・・・」
「まあ、そんな物だと思ってください。
それでは荷物を積んだら出発しようと思いますので用意をしてもらえますか?」
「わかった、すぐにしよう。」
ラキは村に向かう為の準備と村に売る生活用品を載せるのだった。
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