第8話 ロケット号
翌朝、日の出とともに村を出る。
「お父さん行ってきますね。」
「うむ、気をつけて行って来い、あとついでに塩を買ってくるのだぞ。」
「わかってます、多くは難しいかもしれないけどなるべく多く買ってくるわ。」
カリフの村は奥地であり、海に面していない為、普段なら塩は近隣の港町であるエドモンドからの行商で買っているのだが、それほど多い量は運ばれて来ない為、個人的に買い出しする時も多かった、今回折角行くのならと買って来ることになっていたのだ。
「えーと、その荷馬車は?」
「えっ?買い出しに行くのですから荷馬車が必要ですよ?」
俺とニナの間で認識がズレている。
「ニナさん、これに乗っていきますので荷馬車は乗りませんよ?」
「なんですか、これは・・・」
「汽車という乗り物ですね、1時間ぐらいでエドモンドに着きますのでそれほど気張らなくても大丈夫です。」
「だ、大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫です、それにこれの検証なんですから、これに乗ってもらわないと困ります。」
「わ、わかりました。お父さん行ってきます。」
「ああ・・・ゴウさん、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ、さあ行きましょう、ニナさんこの紙をここに入れてください。」
俺は切符をニナに渡す、どうやら俺以外の人が乗る為には切符を発行する必要があると頭の中に啓示が浮かんだので切符を用意していた。
「ここに入れるんですね。」
切符を改札口に入れるとゲートが開きニナが駅構内に入ることが出来た。
「これで向かえるのですか?」
「ええ、これに乗ってください。」
俺は汽車ロケット号に案内する。
「結構広いんですね。これは馬車なのでしょうか?」
客車に入るとキョロキョロしながら周りを見回している。
「似たようなものですね、それでは、出発します。」
俺はロケット号を動かす。
「きゃ、う、動きました!」
「ええ、これからエドモンドに向かいますので、とりあえず落ち着いて座っててもらえますか?」
「はい!」
動き出すと窓から見える光景に固まり、ニナは借りてきた猫のように大人しくなるのであった。
「それほど緊張しなくても大丈夫です。」
「ですが、ほら景色が凄い速さで流れて行きます!」
「大丈夫です、座っていたら着きますので。」
キョロキョロと景色を見て落ち着かないニナをおいて、1時間後ロケット号は無事にエドモンドの郊外に設置した駅に到着する。
「たしかにエドモンドに着きました・・・」
あまりに早く到着したことにニナは驚いていた。
「さあ、ラキさんに会いに行きましょう。」
俺はニナの手を引く。
「は、はい、そうですね。ラキさんのお店はこちらです。」
ニナは困惑しながらもラキの店に向かうのであった。
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