第3話 異世界に立つ

俺は見知らぬ土地に立っている。

「異世界に来たんだなぁ・・・」

日本では中々見れないような大草原が広がっていた。

「さて、貰ったチカラを確認するか。」

俺は貰ったチカラの事を思うと頭の中に浮かび上がってくる。


「今呼び出せるのは、自転車と手漕ぎボートか。」

マウンテンバイクと池などで見かけるボートが呼び出せるようだった。

「これで安全に移動できるのか?」

身体が剥き出しの状態なのに大丈夫かと不安に思っていたのだが、どうやら乗っている間は攻撃を受け付けない仕様だと頭に浮かんでくる。


「マウンテンバイクじゃ体力が続かないだろう・・・」

俺は現代人、舗装されていない道をどれほど走れるのだろうか、だがこれに乗っていないと魔物が来たときに対処出来ない。

俺は自転車に跨り、遠くに見える道らしき物の所まで向う。


「良かった道が近くにあって・・・

さて、どちらに向かったものか。」

道があるのだから右か左どちらかに何かがあるのだろう、だが来たばかりの俺にはどちらに何があるかわからない、取り敢えず直感に従い右に向かう。


「まあ道があるのだから、何処かに着くだろう。」

自転車で進もうとした時ふとポケットに何か入っていることに気付く。

俺はそれを確認するとそこには10枚の金貨と5枚の銀貨が入った袋があった。

「サファさんのプレゼントかな。

お金が無いとこの先どうしようもないからな・・・」

俺は無一文だった事を思い出し、お金を得れたことに感謝するのだった。


自転車を走らせ3時間、心が折れそうになりながらもやっと町・・・もとい村に着くことができた。

「こんな村に旅人か?まだ若いのにどうしなさった。」

おじさんが声をかけてくる。

「気がついたら向こうの草原にいまして、

ここが何処かもわからないんです。

良ければ教えてもらえませんか?」

「なんかよくわからんが、ここはカリフの村じゃ、見ての通りの寂れた村じゃがな。

ワシはこの村の村長をしておるタラスというものじゃ。」

「タラスさんですか、私はゴウと言います。

先程も話した通り、ここが何処かもまったくわかりません。」

「それは難儀ですな、それなら今日の所は我が家でノンビリなさるが良い。」

「いえ、悪いですよ、宿屋とかを紹介していただければ。」

「小さい村ですからな、宿屋などという物は無いのです、見る限りお荷物も無い様子、これから食事や寝床を用意するのも大変でしょう。

村長をしている都合、我が家には使っていない客室が何室かありますので遠慮なさらず。」

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいます。」

俺は深く頭を下げる。

「気にすることはない、さあこっちじゃ。」

俺はタラスに家に案内される、その間も村を見ていたのだが村には活気が無く、若い者も少そうであった。

村の設備も井戸が見受けられ、中世の世界に迷い込んだ感じを受ける。


「あら、お父さんお客様ですか?」

家に着くと中には15、6ぐらいだろうか若い女の子が声をかけてくる。

「ニナ、こちらはゴウさんだ道に迷っておるそうなのでな、暫し滞在なされるしかともてなせ。」

「これは失礼しました、タラスの娘、ニナと申します、滞在中何かあれば言ってください。」

「こちらこそ失礼しました、私はゴウと言います、私の方こそお世話になるのです、何かやることがあれば言ってください。」

「ニナよ、ゴウさんは疲れておるのだ、今宵は精のつく物を用意いたすのだぞ。」

「・・・はい。わかっております。」

ニナは少し恥ずかしそうにうつむくのであった。

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