第2話 異世界へ
「ルミウム、ちょっと酷く無いですか!」
急に現れた女性に対して神が反論していた。
「サファ先輩、それが真実でしょ?
こんなに沢山アマテラス様の地球から誘拐しちゃったんだから責任は取らないと。」
どうやら俺達の対応をしてくれていた神の名はサファと言うみたいだな。
そして、誘拐?
これはまた不穏なキーワードが・・・
「誘拐なんてしてません、事故が起きてしまったのです、何でこんな事が起きたのか・・・」
「あー言い訳はいいから、サッサと出て行ってくれないかしら、貴女のあとはちゃんと私が引き継ぐから大丈夫よ。」
「でも、私が連れて来てしまったのだから・・・」
「いいから、いいから・・・
うん、あらそこの男だけは貴方とパスが出来ているのね、ならその男だけ調整して退職してね。」
「ルミウム!」
「貴女は退職したら神の座を剥奪されるのだから私を呼び捨てになんて二度としないでね。
わかったら出ていきなさい。」
ルミウムはサファを威圧する。
サファは悔しそうに拳を握り、唇を噛むのであった。
「なんだよ、クビになる使えない奴だったのか!そんな奴に大事なチートを任せるところだったのか!」
マコトは大声でサファを馬鹿にしたように言葉を発する。
「おい、止めろよ!」
俺は見かねてサファの前に立つ。
「あん?なんだオッサン・・・
あーオッサンはそのクビになる使えない奴にチートを貰うんだったけ?
うわぁ、かわいそぅ〜」
「そんなのどうでもいいだろ、君の言葉は聞くに堪えない、少しは礼儀を考えろ。」
俺の言葉と周囲からの冷たい視線を感じてマコトは分が悪そうに俺を追い払おうとする。
「知るかよ!ほれほれ使えない奴を連れて何処かに行けよ。」
「言われなくても、サファさん、行きましょう、他にサファさんと一緒に来る方はいますか?」
「いるわけないだろ!」
マコトは即座に否定する。
「お母さん、私達も行こうよ。」
アヤカは母親の手を引きついて来ようとするが母親は決めかねて、動こうとしていなかった。
「ほら、アンタはサッサとその落ちこぼれと行け。」
俺の目の前に扉が現れる。
「わかりました、サファさんよろしいですか?」
「ええ・・・もう一度だけ、他に来る方はいますか?」
サファがもう一度聞くが誰も動いていない。
「行きましょう、ルミウム後はお任せします。」
サファは一度深々と頭を下げ、俺と共に扉をくぐるのであった。
「改めまして、私はサファあと少しで神では無くなりますが今のところは神ですね。」
「私は桐谷ゴウです、私が言う事では無いのかも知れませんがあまり気落ちなさらないように。」
「優しい方ですね・・・
さて、あまり時間もありませんので貴方にチカラを授けようと思いますがどんなチカラを望みますか?」
「最初にお聞きしたいのですが、私が行く世界はどのようなところなのでしょうか?」
「あっ・・・失礼しました、皆さん知っていそうな雰囲気でしたので説明してませんでしたね。
貴方に行ってもらう世界は、そうですね、地球で言うところの中世ぐらいの文明レベルですが、魔法があり、魔物がいる世界と言ったらわかりやすいのでしょうか?」
「だいたいはわかります、やはり危険な事も?」
「はい、ですがその為にチカラを与えますので簡単に亡くなる事は無いと思いますが、それでも油断をすれば危ないと思います。」
「・・・わかりました、それでは私が欲しいのはその世界で安全に快適に移動する手段です。」
「安全に移動ですか?攻撃を受け付けない馬車を用意すればいいのでしょうか?」
「それだと快適ではないと思います、私はその世界を観光したいのです。」
「観光ですか?」
「はい、私は観光が趣味なのです、折角違う世界に行くのですから色々見て回りたいと思うのですが長旅が苦痛になっても嫌ですし、危ない目にもあいたくありません。」
「う〜ん、どうしましょう、少し記憶を見せてもらいますね。」
サファは俺の頭に手を置く。
「なるほど、地球の旅行とはこのようにするのですね、わかりました、貴方には、移動手段を召喚するチカラを与えましょう。」
「ありがとうございます。具体的にはどのようなチカラか伺っても?」
「ええ、貴方が呼び出せるのは車、列車、船、飛行機などの地球での移動手段です。
そして、乗り物全てに攻撃を防ぐチカラを与えています。
ただチカラが馴染んでいない最初はあまり立派なものは呼び出せません、時間が経つか、条件をクリアすれば新しい乗り物を呼べるようになります。」
「条件ですか?それはどのような?」
「色々です、個別になりますので確認してください、また時間はかかりますが自然に呼べるようにもなります。」
「わかりました、確認してみます。」
「ええ・・・本当にすいません。
私の失敗のせいで地球から呼び出す事になってしまいまして。」
「誰にでも失敗はあります、自分も仕事で失敗して人に迷惑をかけた事がありますのでお互い様ということですね。
それに貴女の謝罪には誠意を感じました、自分としては地球にあまり未練も無いのでそこまで気になさらないでもいいですよ。」
「お気遣いありがとうございます。
貴方の人生に幸あらんことをお祈りしております。」
こうして俺は異世界に行くことになったのだった。
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