第4話 ならず者達の最後
レダが窓辺からコソッとレダ亭を破壊した乱暴者達からばれないように見下ろしていると、男達は周囲に八つ当たりし始めた。
〜道端の出店を荒く蹴り倒し破壊し、周囲の通りがかりの通行人達の誰彼構わず、絡み出したのだ。
「何だよ、コッチ見んな!」
「ひぃっっ!」
「お助けをッッッ!」
道中にぶちまけられる果物や野菜、あちこちで上がる悲鳴。
レダはムカッとした
確かに仕掛けたのは自分だが、関係ない人達が悲惨な目に逢うのは本意では無い
すると突然隣に小さな気配がすり寄る
「大丈夫ですよ、お姉様」
「??」
「ホラあそこ、見て?
ふぅんーーー
今は騎士団のお仕事からこの街に戻ってるみたい
あの方だったら大丈夫だよ、きっと
ーーー不正を許さない方だから」
「?!」
『どういう事?』
レダの隣に、いつの間にか側に寄っていたのは、さっきまであのならず者達に追いかけられていた金髪巻き毛の美少年だった。
レダはピッと躊躇わず小さな手で指さしされた方を見た
すると少人数の屈強な歩兵の男達を引き連れた騎士の一群が足早にやって来るのが見えた。
中でも先頭の白馬に乗った赤に白の装束、マントを翻すキラキラ金の飾りが遠目でもわかる兜を被った騎士が印象的にレダの視界に入る
「……あなた随分詳しいのねぇ
うーん、あの制服、この街の守護者、レオン騎士団でしょ?
それ位は私だってわかるわ」
「うん〜
あの御方はレオン騎士団を創設したレオ家の人ですよ
二番目の男子、一番上の跡継ぎの人はちょっとねー
僕は大嫌いですけど、あの貴公子殿は好きです」
「なんで?」
「ーーー貧しい子どもに優しいから
お腹グーグーへらしてた時パンもらったもん
〜食べなさいって、物入れに入れていたご自分の昼食の奴」
「ふぅん」
ジックリ見下ろしていると、立派な格好の騎士はサッと懐からなにやら折り畳まれた紙を取り出し広げた。
『〜成る程、アレ公式の手配書かしらね
とすれば、後は首都に送り届けられ縛り首?ってところかしら』
では余罪として「実はこんな事もありました」と言いつける
騎士団の屯所にレダ亭の被害状況を、早急にわざとらしく改めて言いに行けばいい。
『ねぇあの後、犯人は捕まりましたか?!〜って
そうですあの人達です!
なら更に余罪が追加され、もぅ自分が手を下すことも無い』
だからって、レダ亭の敬愛するおじいさんの怪我が良くなることはないけれど。
せめてもの事件解決として〜
チャンとしかるべく筋で善が成されたことは、痛む心の必ず救済になるはずだ
暴れる抵抗も空しく、瞬く間に男達は次々にお縄につかされ、数珠繋ぎに連行されていった。
『これで良かったのよ』
レダはふーーーっと息を吐くと、クルンと隣に向き直る。
「お腹すいてない?
ベリーのスコーンがまだ1つあるけれど、食べる?」
その途端
金髪巻き毛の男の子の瞳がパァーーーッとキラッキラ、星の様に輝いた。
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