第2話 美少年マリウスとの出会い
「コラ〜〜〜〜待ちやがれこのクソガキ!」
レダがノンビリと、爽快な見晴らしの良い窓辺から景色を見ながらモグモグスコーンを食べていると不穏な怒鳴り声が聞こえて来た。
「?何かしら」
ヒョイッと見下ろすと一人のすばしっこい、クルクル巻き毛〜
金髪の少年を、大勢の騎士風の格好をした数人の厳つい大人達が追いかけている。
レダは見るなりギュッと顔をしかめた。
「あの人達ーーーー!」
明らかに見覚えのある貌
本気でにくったらしい、ごろつきの男達だった
おとついの夜レダ亭にて散々吞むわ食うわで柄悪く大騒ぎをした輩、彼女に絡んだのを必死に止めたレダ亭主人〜
レダにとって大恩人のおじいさんをブンッと突き飛ばし大怪我をさせたガラの悪い余所者だった。
酔った仲間と共に暴れてテーブルやら椅子やらを力任せにへし折ったり投げ飛ばした。
「俺達に逆らうなんざ、100年はえーんだよ、ヨボヨボのジジイがッッ」
最低な捨て台詞を吐き、居心地良く整えられていた内装を壊滅状態にグッチャグチャにし漸く立ち去っていった。
勿論飲食物の代金も総て踏み倒され、修理費も一欠片も貰っていない。
レダ亭はそんなこんなで今現在、仕方なく腕利きの大工による修繕もかねて数日間臨時休業中なのだ。
看板娘のレダが現在、急場の臨時仕事をしているのは、彼に少しでも良い治療薬を買う為だ。
宿屋に勤める僅かな従業員も、他の商売敵に取られないように給金の保証もせねばならないし、食材も要らなくなったからと突然のキャンセルは先方に迷惑が掛かる。
兎に角、どっちを向いても、何につけてもそれなりのお金が要るのだ。
「私が外で働くから安心してね♡
おばあさんは、おじいさんに看病、付き添ってあげてね」
「そんなーーーお前いいのかい?」
「ええまかせて。
確か、レダ亭に良くしてくれる商家のご主人が息子さんに旅籠を任せると小耳に挟んだから、『是非建物のお掃除私にさせて下さい』って一生懸命頼んでみるわ?
私、複式簿記も出来るから、知り合いのお姉さんにもお仕事紹介してとそちらの方も頼んでみるから心配しないで♪
だってもうじき、この王国のアレクサンダー国王様から税の取り立てがあるでしょ?
この街の商人は皆、猫の手も借りたいくらい忙しいから、きっと役立つと思うの」
さてーーーーアイツらどうしてくれようかしら?
むかーーーーっとアレもコレも
レダは一気にムカツク全部をメラメラ思い出し素速く知恵を巡らせる。
おじいさん、私、絶対に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます