第一回Crimson messiah②


対面したスフィンクスは白く光輝いていた。


しかしながら、静かに気を練っていた。


それが口に収斂されて砲口と化した。


光魔法、古代エジプトのヒエラティックテキスト、耳障りには聞こえない神聖な詠唱。


それがパーティーの前線に出ている風宮緋走、伊吹亜里佐、武威次郎、バーバラ・ワイルドハントに向けて放たれた。全体攻撃。


その後、武威次郎の浄玻璃鏡が放たれた。


通常攻撃ながらも、大ダメージである。


風宮緋走の武器はダブルダガー、両手に短剣、ゆらりと体が揺らめき、狂戦士ベルセルクのような一撃を一つ、そしてまた一つ放つ。


スフィンクスは呻き声をあげる。


彼の攻撃は馬鹿げている。ドイツ語で言うならば、笑劇ファルスとでも言えよう。


バーバラ・ワイルドハントはそれを見て呆れる。


「骨の髄まで狂戦士ベルセルク、存在そのものが戦闘に特化している………まぁ、そんな彼に死なれたら報酬が0になるからね」


防壁バリアを構築する魔法が彼に放たれた。


伊吹亜里佐は両手の磨き鍛えられた鉄甲で構える、それは古代エジプトボクシングの構えにも似ていた。エジプト神話の狼の軍神ウプウアウトが舞い降りたような形であった。


連続攻撃は光属性の五連打であった。


五光拳ごこうけんと呼ばれるものだ。


武術の起源の一つが古代エジプトに繋がる事を意味している。日本神話とエジプト神話を比べてみると相似している点も多い。


しかし、それはあからさまなパロディだ。


スフィンクスの番はまた光線の砲口だった。


それを風宮緋走がかわして反撃に移る。


武器を長ドス、暗王魔水あんおうますいと呼ばれる水属性の武器に変えていた。


それを口を開けっ放しのスフィンクスの口の中に突き刺す、そのまま水魔法を放つ。


霧刃の幽鬼ミストナイフゴースト!」


水が刃の形になり、口内からその口の裏の首まで一直線となって風穴めいた大穴が開く。


霧の刃によって、肉を裂かれているのである。


バイオレンスな霧の使い方である。


螺旋となった水は最終的に大鎌を持った死神のような形になり、画面全体で狂笑した。


バーバラ・ワイルドハントが舌打ちをした。


「平成、それは現代魔法と旧式魔法の狭間の時系列、狭間の時系列らしい電脳空間のコードと旧式魔法、忍者の水遁すいとんの術が融合している、人形師パペッティアの技術にも似ているわね」


スフィンクスは当然のごとく吐血している、そのままズシン、と倒れてしまった。


勝利したのだ、伊吹亜里佐が彼を褒めた。


「えっぐぅ………まぁ、この技がチャイニーズマフィアに暴露シギントされなきゃいいけど」


風宮緋走はそれに対して苦笑いしている。


「まぁ、一石二鳥ってやつだけどさ」

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