疾風迅雷--アイアンフェイトプリクエル--

飛瀬川吉三郎

第一回Crimson messiah①


風宮緋走かぜみやひばしり賀茂鴨子かもかもこはイタリアにいた。


エトナ火山、イタリア南部シチリア島の東部にある活火山。旧名をモンジベッロ という。ヨーロッパ最大の活火山であり、独立した2つのチームがGPSを用いて2018年7月に行なった測定では標高は3,326mであるが、活発な火山であるため標高の変化が早い。


神話において、テュポンが封印された場所だとされる。ノアの大洪水を引き起こしたという説がある。


アルプスを除いたイタリアでは最も高い山である。 そこに謎のオブジェクトがある。


闇深き黒色の逆ピラミッドが浮いている。



その下には大蛤ビッグシェル、妖怪のしんによる蜃気楼が放たれた。


幻の邪悪、されど、邪悪。


入り口に入り、扉が両側に二つ、それは通路が二つ、分かれている事を意味する。


「ここで、一旦、分かれようか」


賀茂鴨子がそんな事を言う。


風宮緋走に同行を求める者はまず四人。


「私は風宮の方についていきたい」


伊吹亜里佐いぶきありさだった。


蛇神、伊吹大明神の化身、伊勢の歩き巫女、望月千代女もちづきちよじょを源流とするくノ一である。


「なら、俺もこっちだな」


ジェレマイア・アルゴーも彼女に同意する。


それに、更に同調する者がいた。


老賢者エイブラハムである。


「我が孫の白石の秩序を見れるとはな」


最後にそんな彼に嫌々しく同意見の者。


魔女バーバラ・ワイルドハントである。


「‥‥‥黒い方の王の駒だと思うけどなぁ」


賀茂鴨子はそれにあと一人選んだ。


「おい、息子の監視役ならば父親もだ」


逆立てた銀髪、青い服装をした男、それに物々しい鎧甲冑をした武威次郎ぶいじろう


装備した黒色の刀の銘は浄玻璃鏡じょうはりのかがみ、閻魔が亡者を裁くとき、善悪の見きわめに使用する地獄に存在するとされる鏡の名前だ。


無言でその太刀を抜刀して砥石を当てた。


賀茂鴨子が選んだのも五人である。


まずは新井ウィルマ。


「私がいないと話が始まらない」


次にアレグザンドラ・アマゾネスクイーン。


「‥‥‥ならば、私も彼女に従おう」


そしてクララ・ヴァルキュリア。


「さぁ、戦神オーディンの威光を印す時!」


更に在日中国人の義兄弟が随従を示した。


発火能力者ファイアスターター、片手斧使いの火城明かじょうあきら


「フッフッフ、俺は常に最強だぜ?」


そして、蛇尾赤志へびおあかしである。


「輝くトラペゾヘドロン、是非、手に入れよう」


魔導具の残骸マジックジャンク回収専門職の旅するフリーランサーの武器素材屋の彼がそう言った。


その逆ピラミッドの頂上の黒い平野、そこには暗黒のファラオ、ネフレン=カがいるらしい。その十二人は彼女を倒すため集まった。このエトナ火山から全てが始まる。


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