第2話 転生した世界は干ばつした村でした
あ〜、あ〜暑いっ。ちょっと寝てられないわぁ。
ん? そうだ、天界のお母さん?に転生させられたんだっけ。罪とかっって言ってたけど、ほんとひどいな
「あ、あの〜」
「ん? あ〜おはよう。って誰??」
「そ、それはこちらのセリフです! なんっなんですかそんなところに倒れていて」
「ん???」
大きなかごを持った女性が恨めしそうに私を見つめている。どうやら私は彼女のたちの畑の上に倒れているみたいだ。
「ご、ごめんなさい。歩いていたら、喉が乾いてしまって、、、気がついたら倒れ込んでいたみたい。ほんと悪気はなかったのごめんなさい」
「いえ、いいんです。。。ただ、ちょっとどいてもらっていいですか」
「あ、ごめん。 ところで水を一杯もらえませんか?」
「あ、あ、はい。じゃあ家までいらっしてください」
彼女の名前はメルロン。一緒に歩いた家までの道のりで、この世界のことを色々話してくれた。
「ここが私の家です。 水でしたよね。ちょっとここで待っていてください」
「ありがとう。」
家から背の高い男性が顔を出している。小柄な女性は家の奥にいてこちらを覗き込んでいた。父親と母親だろうか。ただ全体的に痩せこけている印象だ。
奥からメルロンがコップを持って出てきた
「はい。お姉ちゃん、こちらをどうぞ」
「ありがとう」
ゴクッ、ゴクッ
はあ、生き返る〜 なんせこの何時間で、雨の中レポートしたり、死んだり、暑かったり、目まぐるしく環境が変わったからな
「申し訳ないんだけど、もう一杯もらえないかしら? あ、お金なら払うわ」
「おい、お前! 何言ってるんだ」
家から父親らしき男性が勢いよく私たちの前にやっていきた。
「お父さん、、この人倒れてたんだから」
「しかし、、、おいお前、いまこの一杯の水がどれだけ貴重か分かっているのか!」
「え? あ、なので必要であればお金を、、、」
「金の問題じゃない。いまこの村ではこの日照り続きで水が手に入らないんだ。いまの一杯だって、今日の私たち3人の分だったんだぞ!」
えええー、そんな貴重なものを。
ってか、天界のお母さん、なんてところに飛ばしてくれたんだよ。
「え、え、あ、あのごめんなさい。そんな貴重なものを、、、しかも一気飲みで」
「お前なぁ!!!」
お父さん怖い。
「いいんです。困っている人がいたらお互い様ですから」
家からお母さんらしき人が声をかけてくれている。
「さあ、家の前ではなんですから、中にはいりませんか?」
お母さん優しい。
家の中でこの村の事情を聞いた。
もともとこの村は肥沃な地域で人間界でいう穀物や野菜などもよく育っていたようだ。なので畑でいろいろなものを育てていたらしい。
しかし、この最近は雨が一滴も降らず、そのため草木は枯れ、穀物が実を実らせない。人々は痩せこけ、村のなかには餓死する人が出ているとのことだ。
そうだ、私、魔法使えるんだ。
「あ、あの一つ提案なんですが、私、魔法使えるんですよ。それで水とかちょちょとと〜出しちゃおうかな〜と」
3人の視線が痛い。
メルロンが口を開く
「え〜と、魔法は私も使えるよ。私は火属性だけど、お母さんは水属性なんだ」
「最初のうちは、私たちも水魔法でしのいでいたのですが、それも魔力が尽きてしまうと使えず。。。食料もなくなってきて、結果魔力も落ちてしまっているんんです」
そうか。。。そううまくはいかないのか
「それにそもそも広範囲に水、雨を降らすなんて無理なんだ。手元でちょろっと出すくらいなら俺にでもできるが。。。」
お父さんの言葉にも悲壮感が漂っている
「それか、もしかしてお姉ちゃんはものすごい水魔法が使えるの??」
メルロンの瞳が急にキラキラと輝きだす。
「え、え〜と、そ、そうかも、あははは」
「ぜひ、やってみて」
3人とともに家の前にでる。
そもそも魔法使ったことないのにどうやって出すんのよぉ。 たしか魔法は使えるようにするとか言ってたけど、、、えーい、どうにでもなれ!
「え〜と、み、水よ、出ろっ!!!」
両手を天に掲げ、そう叫ぶと、そこに大雨が降りそそぎ、、、、な、訳はなく、両指から汗ほどの水滴が滴り落ちるだけで・・・
ぴゅう〜〜〜〜 空気が凍るほどの冷たい風が吹く。
またも3人の視線が痛い。
「あ〜、は、そうだ、私は風属性だったかな。。。あははは」
「こほんっ、今日は疲れたでしょう。さあ、なにもないけど今夜はゆっくり休んでいくといいわ」
「はあ、ありがとうございます」
その晩、ささやかな食事をともにして寝床につく。
ほんと、今日はいろいろなことがあったわ。ありすぎだよ。
まず、整理すると
・私、水鳥明子は死んだ。雨のなかなにかに頭をぶつけた
・そして天国に行けず、徳を積むために異世界に転生した
・異世界では魔法が使える(どうやら風属性らしい)
・この村ではここ最近、雨が降っていない
・過去の記憶は(一応)あるっぽい
ってところかしら。
雨のなか死んだ。だから、雨のない村に転生させられた、ってことかな。
もう、明日からどうやって生きていけばいいのかしら。とにかく、この村は早めに出て近くのもっと大きな街にでも行ってみるのがいいわね。明日、メルロンに聞いてみよう。
はあ、しかし今日は疲れた。まずは休もう。。。
眠気が差してきたころ、隣の部屋で夫婦の話し声が聞こえる。
「なんで、よりによってうちの娘なんだ。。。」
「あなた、しょうがないわよ。。あの子は、私の姉さんと同じ火魔法持ちだから、、、明日、メルロンには伝えましょう」
「しかし、なんで。。なんで、、、」
机を叩く音も聞こえる。お父さんがなにかに憤慨しているらしい。
うるさいぉ、こっちは眠いん、、だ、、、から、、、ぐごぉお〜
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