第12話 アレックス、お前もか!!

「よおシュン。昼になっても来ないからどうしたのかと思ったらそう言う事か。」


「げっ!?パッシモ。」


いつも救世主に見えてるけど、今日はダメだ。パッシモ。俺の癒しを邪魔しないでくれ。


「シュン?約束してたの?」


「コイツはただのルームメイトだから気にしなくていいよ。」


それに今日も又違う友達をゾロゾロ連れてるし。


「そうそう、コイツいつも一緒にお昼食べる相手がいなくて困ってるんだ。あんたがお昼を一緒に食べてくれると俺も安心だ。」


「おいパッシモ!」


「はっはっは!それじゃシュン。又夜にな。」


くそっ。見られたくないヤツに見られたな。かといって食堂で飯食ってたら隠れるのは無理か。


「シュン?」


「ああごめんごめん。あそこが空いてるっぽいからそこに行こうか。」


女性と二人っきりで食事なんていつぶりだ?10年はそんな機会なかったよな??さて何話す?黙々と飯食ってたら明日から一緒にお昼行ってくれなくなるぞ。


「スズは食堂は初めて?」


「うん。」


「そっか・・・」


会話続かねー。俺やっぱコミュ力低いな。これってどうにかならないもんか。せっかく9人もヒロインがいるのに・・・


「あの・・・」


「ん?どうしたの?」


「私、魔法がうまく使えないの。」


きたーーー。よしシュン。しっかりスズの悩みを聞くんだ。ここは聞き役に徹しろ。


「うまく使えない?スズって土属性だよね?なら土の玉を覚えてないって事?」


「土の玉は覚えてる。けど2回に1回は発動しないの。」


「えっ?発動しない?そんな事がありえるの?」


「うん。」


「それってどうにもならないの?」


「調べてもらったけど原因はわからなかった。だけど、土の髪飾りって言うアイテムがあれば治るらしい。」


「土の髪飾り・・・それがどこにあるかは知ってるの?」


ここで土の髪飾りが出てくるのか。しかもスズはそれがあれば治るって知ってるんだな。あ〜だからアレックスが渡しただけで攻略になるんだな。


でも俺がここで土の髪飾りを渡しても同じ効果があるのか?受け取りはするだろうけどありがとうだけで終わらないか?


「わからない。それを探す為にここに来た。」


あれ?土のダンジョンの地下30階にあるっていう情報は出回ってないのか?いやそんなはずないだろう。何度も攻略されてるんだ。それぐらいはすぐにわかるはずだ。


どういう事だ???


「ここに来たって事はダンジョンとかで見つかるのか?」


「わからない。けど、その可能性は高いと思う。」


さて、どうする?一緒にダンジョンに行っても土の髪飾りは俺が持ってる。もう一度いけば地下30階でもう一つ手に入るのか?そこで手に入るなら問題ないな。でも手に入らなかったら・・・


どこかのタイミングで俺が見つけた事にしてスズに渡すか?その方が俺の株は上がるだろう。そうだな。それを考えるなら土のダンジョン以外に一緒に行く方がいいか。


「そうか。なら俺も土の髪飾りを探すの手伝うよ。」


「えっ!?・・・いいの?」


「えっ?だってパーティーメンバーだろ?当然さ。」


「魔法が発動しないって言ったらパーティーの話はなくなると思ってた。本当にいいの?」


「もちろんさ。それに俺から誘ったんだぜ。そんな事でパーティーをやめたりしないさ。それよりそんな大事な事、俺に言って良かったのか?」


「うん。パーティー組んでダンジョン行ったらわかる事だから。」


「それでも先に言えばパーティーの話がなくなると思ってたんだろ?なら何で先に言ったんだ?後でわかった方がそのままパーティー組める確率は高いだろ?」


「あなたなら言っても大丈夫な気がしたから。」


「スズにそう言ってもらえるとうれしいな。期待に答えられるよう頑張るよ。」


良い雰囲気だ。やるじゃん俺。そうなんだよ。コミュ力低くても話しかけてくれたら答えれるんだよ。


「おっいたいたシュン久しぶりだな。」


「アレックス・・・」


今度はお前か。せっかく俺がスズと仲良く話してるって言うのに、


アレックス。お前もか!


「なあシュン。俺とパーティー組まないか?」


はっ?いやいや。はっ?俺がアレックスと組む?どう言う事だ?リアルじゃマリアとデリカと組むと思ってたけど?


はっ!?もしかしてスズを狙ってるのか?アレックス、スズ、俺のパーティーで俺からスズを奪うつもりか?


そんな事はさせん!俺はスズと二人でパーティーを組むんだ。誰にも邪魔はさせんぞ。


「俺はもうパーティー決まってるから諦めろ。それに失礼だろ?今丁度一緒に飯食ってるのがパーティーメンバーのスズだ。メンバーの前でいきなり引き抜きとかありえないだろ。」


ははは言ってやったぜ。俺が3つのダンジョンを攻略するまでお前はモタモタしてるがいい。


「シュンの所は二人なのか?なら丁度いい。俺も今二人なんだ。四人でパーティー組まないか?」


何?このイケメン、断ったのに更に押してきたぞ。いやいやここは、


「だが断る。」


これだ。使い方あってるかわからないけど定番のだが断るを使ってやったぜ。これでおとなしくなるだろう。なるよな??


「そ、そうか・・・ならしょうがないか。わかった。だかお前には負けないぞ。一番手は俺達がもらう。」


去っていったか。お前には負けないか・・・やばい。そのセリフって主人公アレックスがカインに言うヤツじゃん。どのダンジョンから行くのか聞いとけばよかったな。


「よかったのシュン?」 


「ん?ああ。スズの秘密はなるだけ知られない方がいいだろ?まあアイツは知っても気にしないだろうけど。」


なんせさわやかイケメンだからな。アレックスって。


「ありがとう。」


「気にすんなよ。それよりどのダンジョンから行く?土の髪飾りって言うぐらいだから土のダンジョンとかが確率高いのかな?」


「そうかもしれない。けど・・・はじめは雷のダンジョンに行こうと思ってた。」


「雷。それは属性から?」


「うん。土は雷に強いから。」


なるほど、確かに理にかなってるし俺も土のダンジョン以外がありがたかったからそれでいいか。雷のダンジョンはデリカ用の雷の指輪がある。


「わかった。じゃあはじめは雷のダンジョンにしよう。」


そう言って俺は、スズとパーティーを組んでダンジョンに行く事を決めたのだった。

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