第一章 デスティニー学校1年生
第7話 学校生活1日目・・・ルームメイト
昨日は、我ながらうまくやった。っていう思いとやってしまったって思いが何度も何度も自分の中を駆け巡り中々寝付けなかった。
だってそうだろ?
昨日けっこうな勢いで目立ってしまったんだ。今日もし学校に行って指さされながらヒソヒソ噂されたらどうしよ?ってどうしても考えてしまうんだ。だって俺って豆腐メンタルなんだよ?
わかるだろ?地球の日本人でテレビに出るような有名人でもない。バリバリ仕事をする会社の中で一目置かれる存在でもない。その他大勢の内の一人の30歳のサラリーマンなんだから。
あ~。リアルってその辺大変だよな。ゲームだったらこんな悩みなんてなかったのに・・・まあその分リアルに学校生活をやり直せるんだからメリットは大きいか。それにナインデスティニーをやり込んでる俺って攻略本持ってるのと同じだしな。
俺はやれる。主人公になれる。
俺はやれる。主人公になれる。
俺はやれる。主人公になれる。
「ブツブツブツブツ何言ってんだ?早くいかないと食堂閉まっちまうぞ。」
「あっ・・・」
そうだった。ここって学生寮だった。
ナインデスティニーは、毎日学生寮から始まる。学生寮はデスティニー魔法学校に併設されてる寮で、入って初めて知ったのだが、貴族用と貴族以外で校舎が分かれていた。もちろん男性と女性は別の階になっている。勇者アレックス、魔王カインともに貴族なので、学生寮で2人とは会う事がない。
「早く行こうぜ。」
「待ってよ。パッシモ。」
そして、貴族用の学生寮は一人部屋だったが、貴族以外の学生寮は二人部屋だった。俺のルームメイトはパッシモと言って気さくな赤髪の男だ。積極的に話しかけてくれたので、コミュ力の低い俺も助かって、すぐに仲良くなれた。
ただ・・・二人部屋って、部屋にヒロイン呼ぶことできないじゃん!!!どういう事?
いやいやそういう事だ。そもそも女性を部屋に連れ込むのは禁止されている。もちろん他の学生にもすぐにばれるだろう。だからカインの時は学生寮を利用せずに宿屋デンジャラスを使用していたのだから。だからこの学生寮の門限は存在しない。ゆるゆるなのだ。
ただ・・・
こっそりヒロインを学生寮に連れ込んでいたのは内緒の話だ。いやわかるだろ?そういうのってお約束じゃん!!
だからパッシモ君。これから夜道には気を付けてくれ。もしかして夜道で襲われて亡き者になってしまう。そして、この部屋を俺が1人で使う事も・・・ありえると言えばありえるし、ありえないと言えばありえない。
そう。あり得る訳がないのだ・・・
「昨日も思ったけどここの食事ってうまいよな?」
「うん。これが卒業まで続くのはありがたいね。」
「そういやシュンは何組になったんだ?」
「言ってなかったっけ?俺はF組だよ。そういうパッシモは何組なの?」
「俺か?俺はC組だな。そっか~残念だな。せっかくなら同じ組がよかったけど、まあ離れたんじゃしょうがないな。」
「いやいやパッシモならすぐにクラスで友達作るでしょ。正直不安なのは俺の方だよ。俺って地図にも載ってないような村から来たから勉強とかもついて行けるか心配うだよ。」
「お前こそ何言ってんだよ。そんなヤツは入学式でいきなり魔法をぶっ放したりしねぇよ。それにお前の実力なら気にする必要もねぇよ。」
ナインデスティニーでは、アレックスを選択するとA組、カインを選択するとB組になっていた。聞いた所によると、貴族はA組かB組になり、貴族以外がC組からF組になるみたいだ。
そして俺はF組だった。
それを聞いて俺は両手を突き上げて喜んだ。なんでかって?そりゃお前、F組には、ヒロインの一人、土属性で茶髪のスズのクラスがF組だからだ。ちなみに他のヒロインはどっちもAクラスでアレックスと同じ組だ。
これは、俺に一番初めにスズを攻略しろという天のお告げに違いない!!そうと決まれば急ぎ土のダンジョンに向かわないと。授業なんて受けてる場合じゃないだろ・・・モタモタしてるとアレックスに先を越される。
俺は、授業をサボってスズ攻略の為、土のダンジョンに行こうと思ったが、ここで授業をサボるとボッチ確定になってしまうので、一瞬でその考えを諦めて学校へ向かった。もちろんパッシモと一緒だ。
だって、俺まだこの学校で友達一人もいないもん。
「じゃあな。俺はここだから。まあなんだ。もし友達できなかったら昼休みは先にここに来いよ。一緒に昼めし食べようぜ。」
「おお!!あなたが神か!!」
「それは大げさだ。じゃあなシュン。」
「ああ。」
パッシモ。なんて良いヤツなんだ。俺にはもったいないな。ああいうのを陽キャって言うんだろうな。俺には無理だ。俺って陰キャとは言わないけど、陽キャでもないもんな。できる事は普通の事だけだよ。それよりもE組だ。スズだ。スズ。いるかな?いてくれよ。いやでも先に来てスズが来るのを待つのもいいか。
パッシモと別れた俺はE組に入って行った。すでに何人かは席に座っていた。一番前の真ん中にはお目当てのスズが座っていた。隣が空いていた俺は迷わずその隣に座るのだった。
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